ストレッチを効果的に行うための5つの条件

ストレッチ

ストレッチ『stretch』とは直訳すると『引っ張る』、『引き伸ばす』という意味があります。
一方、ストレッチング『stretching』とは、『引っ張る』、『引き伸ばす』動作のことを指します。

運動動作中、筋肉を引き伸ばすことから『ストレッチング』と呼ばれるようになりました。

皆さんは身体の柔らかさについて考えてみたことはあるでしょうか。
柔らかさというと、バレエダンサーのように身体が柔軟でしなやかに動くことができると考えがちですが、実はそれだけではありません。
どんなに身体の硬い方でもストレッチをこまめに行なっていればやがて筋肉や関節の可動域が広がってくので、次第に身体は柔らかくなって行きます。
それに伴い筋肉や関節の可動域が広がって行くので、ストレッチはスポーツパフォーマンスだけではなく、我々の日常生活にも素晴らしい影響をもたらしてくれます。
現在、使われている『ストレッチ』という言葉は、1970年ごろからアメリカのスポーツ科学者の間で使われ始め、1970年代後半より日本でも急速にその概念が広がりました。
筋肉や関節がどうして、柔らかい方が良いかと言うと、例えば足首を例に挙げると足首が硬くなってしまうと立っているときや歩いている時にでさえ負担がかかるようになります。
また、転倒した時に足首を捻り酷い捻挫に見舞われることがありますが、柔軟性があれば咄嗟の動作に対応出来ますし、大怪我になるリスクもかなりの確率で回避することができます。
このように、日頃ストレッチを行い身体を柔らかくしておけば、怪我だけでなく、筋肉が動きやすくなり、血流も良くなるので肩こりや頚の痛みや腰痛などといった身体の不快症状を感じることも少なくなります。

ストレッチングを行うことで得られる様々な効果

ストレッチングを行うことで以下のような運動効果が期待できます。

  1. 筋肉ならびに結合組織の柔軟性の改善
  2. 筋肉の緊張緩和
  3. 血流の改善
  4. 神経機能の向上
  5. 傷害の予防

1.筋肉ならびに結合組織の柔軟性の改善
ストレッチングを毎日行うことで筋肉や結合組織の柔軟性を高めることができます。
柔軟性を養うことで日常生活で怪我をしにくくなったり、コリなどの不快症状が発症しにくくなるというメリットがあります。
適度な柔軟性を養うことは身体にとってとても良いことなのですが、過度な柔軟性はかえって怪我の発症率を高めることもあります。

女の子座り(とんび座り)

女の子座り(とんび座り)

一番危険なのは関節が緩くて、筋力がない方の場合です。
関節が緩いというのは関節の安定性がないという意味で、ほとんどのケースでは何かしらの理由により靭帯が緩くなってしまっている方が多いようです。
先天的に関節が緩い方もいますが、身体の偏った使い方により後天的に関節が緩くなってしまう方もいます。

女性の方に多く見られる『女の子座り』を多用している方は股関節の動きがルーズ(緩く)になってしまっています。
このことが原因でO脚やX脚になってしまい、単に見た目が悪いだけではなく、将来、股関節や膝、足関節に大きな負担をかけてしまいます。
一度緩くなってしまった関節は元には戻りません。
関節が緩くなってしまった方がこれ以上、柔軟性を養う必要は健康面から考えても問題があると思います。

2.筋肉の緊張緩和
ストレッチングは筋肉を伸ばすだけでなく、緊張した筋肉を緩める効果があります。
緊張した筋肉が緩むことで、肩こりや腰のハリなどの不快症状を改善させるだけでなく、メンタル面の改善も期待できます。
心の緊張が解きほぐされると、意識は隅々にまでいき渡り高いリラックスを得ることができます。

3.筋肉の緊張緩和
ストレッチングを行うことで血流がよくなることが期待できます。
特に下肢の筋群の柔軟性を養うことで下肢のみならず、全身の血液の循環能力を改善させることができます。

4.神経機能の向上
ストレッチングを行うことで脳と神経を刺激して、脳、神経、筋肉の指令伝達機能の改善することができます。

5.傷害の予防
体温が十分に温まらないうちに過度な運動を行うと、筋肉や関節を痛めてしまう原因となることがあります。
運動前にストレッチを行うことで傷害予防や筋肉痛の軽減に役立ちます。
この場面で行うのは静的なストレッチではなく、ダイナミック、バリスティックストレッチなどに代表される動的なストレッチです。

ストレッチングには数多くの種類がある

一口にストレッチングといっても実に様々な種類があります。
ストレッチングには下記のようなものがあり、それぞれストレッチングで得られる効果が微妙に異なります。
ストレッチングは取り組むスポーツの種類、自分の目的、場面などに応じて使い分ける必要があります。

  1. スタティックストレッチ
  2. ダイナミックストレッチ
  3. バリスティックストレッチ
  4. PNFストレッチ
  5. クライオストレッチ

1.スタティックストレッチ
弾みや反動を用いることなく筋肉をゆっくりと伸ばしていき、その状態を維持することで可動域を増していくというストレッチです。
一見するとストレッチ中は動きが見られないことからスタティックストレッチは『静的ストレッチ』と呼ばれることもあります。
一般にストレッチといえばこの『スタティックストレッチ』を指している場合が多いようです。
しかし、スタティックストレッチを運動実施前に行ってしまうと筋肉が緩みすぎて、却って運動中に力が入りにくくなってしまうことがあるため、スタティックストレッチはクーリングダウンに用いなければなりません。

2.ダイナミックストレッチ
ダイナミックストレッチは身体の動きを利用しながらリズミカルに筋肉を伸ばし、可動域を増していくというストレッチ方法です。
後述するバリスティックストレッチとの違いは反動をつけずスピードをコントロールしながら行うところです。

3.バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは動きに反動を用いるストレッチのことです。
筋肉に瞬間的な刺激を段階的に加えることで、可動域いっぱいまでストレッチしていく方法で、一般に運動前に行うと良いとされています。
バリスティックストレッチは体が温まっていない時に実施すると却って筋肉を傷めることもありますのであまり無理に反動をつけすぎないように気をつけて取り組む必要があります。

4.PNFストレッチ
PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)は固有受容性神経筋促通法と呼ばれ1940年代にアメリカで誕生した理学療法の治療の一手技です。
このストレッチ法は劇的に関節の可動域を広げる効果が期待できるだけでなく、関節の連動性と動きの質の向上にも期待できます。
極端に筋肉が固い方はPNFストレッチを行ってからスタティックストレッチを行うことを推奨します。

5.クライオストレッチ
まだ日本では馴染みの少ない方法ですが、元々ケガからのリハビリとして使われていたストレッチ法です。
アイシングにより筋肉の感覚が低くなった状態を利用して、可動域を上げていくストレッチ方法です。
方法そのものはスタティックストレッチと同じですが、ストレッチ部分を冷やしながら行うところに大きな違いがあります。

ストレッチングを行うときの注意点

  1. 弾みや反動をつけて行わないようにしましょう
  2. オーバー・ストレッチングをしないこと
  3. 自然な呼吸方法を心掛ける
  4. 自分のペースでストレッチを行います
  5. 毎日行う事が大切です

1.弾みや反動をつけて行わないようにしましょう。
柔軟性を養うのが目的なら弾み反動をつけずに行うスタティック(Static:静的)ストレッチを行うのが望ましいでしょう。
ストレッチしたい筋肉をゆっくり伸ばしていき、程よい緊張感が得られたところで一旦静止します。
20秒間前後、その姿勢をキープしたら筋や腱を休めるために一度姿勢を元の状態に戻します。
次にまた20~30秒間行い、更にまた30~40秒間行うという具合に、段階的に時問や強度を増してゆくのがスタティックストレッチングの正しい実施方法です。
いきなり強い負荷をかけるやり方をすると、帰って筋や腱を痛めることがあるので注意しましょう。

2.オーバー・ストレッチングをしないこと
筋や腱はある程度緊張が得られるところまでストレッチしないと効果が生じませんが、あまり、痛いのを我慢して無理にストレッチを行うと却って逆効果になってしまうことがあります。
無理にストレッチすることを『オーバー・ストレッチング(OverStretching:過伸展)』と呼び、逆効果であるばかりか、筋や腱を痛めることがあります。
強過ぎず、弱過ぎず、加減をしながら行うことが大切です。

3.自然な呼吸方法を心掛ける
息を吐きながら徐々にストレッチを行っていきます。
息を吐ききったあとはなるべく自然な呼吸方法を心掛けるようにします。

4.自分のペースでストレッチを行います
身体の柔軟性には個人差があります。
決して他人と競ったりしないようにマイペースで行うようにしましょう。

5.毎日行う事が大切です
ストレッチはすぐに効果が得られるものではありません。
筋トレも同様のことが言えますが、毎日の積み重ねで、柔軟性が徐々に養われていきます。

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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

公式サイト:
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