ストレッチング(すとれっちんぐ)とは|筋肉を伸ばす効果と種類・運動前後の使い分けを徹底解説

ストレッチング(すとれっちんぐ)

英語名称

stretching(ストレッチング)

解説

ストレッチングとは、筋肉を伸展させる(伸ばす)運動のことです。ストレッチングを行うことで、筋肉の弾力性や伸展性、腱の柔軟性を高めることができるほか、以下のような様々な運動効果を期待することができます。

  • 筋肉ならびに結合組織の柔軟性の改善
  • 筋肉の緊張の緩和
  • 血流の改善
  • 神経機能の向上
  • 傷害(ケガ)の予防
  • リラクゼーション

というように、様々な効果があります。

ストレッチングは、ウォーミングアップ、クーリングダウン、トレーニングやリハビリテーションなどにも用いられます。

運動の前に行うストレッチとしては動的ストレッチが適しており、関節可動域の維持・向上や血液循環の向上、傷害予防に効果があります。一方、運動後に行うストレッチとしては静的ストレッチが適しており、疲労回復の促進、痛みの軽減、リラクゼーションとしての効果が期待されます。

また、トレーニングやリハビリテーションとして行われるストレッチでは、状況に応じて使われる種類は変わってきますが、筋萎縮の抑制や関節可動域の回復といった効果が期待できます。

それぞれの状況に応じたストレッチを選択することが大切で、基本的に運動パフォーマンスを向上させることを目的とした場合には、動的ストレッチをウォーミングアップとして導入します。ただし、あまりにも筋肉が張っていて、筋疲労のためにパフォーマンスが低下してしまうという場合には、静的ストレッチを導入することもあります。

なぜ運動前は動的・運動後は静的が良いのか

ストレッチの使い分けには理由があります。運動前は、これから動く準備として「筋温(筋肉の温度)を上げ、関節を大きく動かせるようにする」ことが目的なので、体を動かしながら伸ばす動的ストレッチが適しています。逆に、運動の直前に静的ストレッチで筋肉を長時間じっくり伸ばしすぎると、一時的に筋力やパワーの発揮が低下し、パフォーマンスが落ちることがあると報告されています。一方、運動後は高ぶった筋肉や神経を落ち着かせ、疲労を回復させたいので、ゆっくり伸ばして副交感神経を優位にする静的ストレッチが向いているのです。「動的=アクセル、静的=ブレーキ・整理運動」とイメージすると分かりやすいでしょう。

ストレッチングには、下記のように様々な種類があります。

  1. スタティックストレッチ
  2. ダイナミックストレッチ
  3. バリスティックストレッチ
  4. PNFストレッチ
  5. クライオストレッチ

1. スタティックストレッチ

弾みや反動を用いることなく、筋肉をゆっくりと伸ばしていき、その状態を一定時間維持することで可動域を増していくというストレッチです。このことから、スタティックストレッチは『静的ストレッチ』と呼ばれることもあります。一般にストレッチといえば、この『スタティックストレッチ』を指していることが多いようです。運動の直前に長く行うと筋肉が緩みすぎ、かえって力が入りにくくなってしまうことがあるため、主にクーリングダウンに用いる方が良いとされています。

2. ダイナミックストレッチ

ダイナミックストレッチは、身体の動きを利用しながらリズミカルに筋肉を伸ばし、可動域を増していくというストレッチです。後述するバリスティックストレッチとの違いは、反動をつけず、スピードをコントロールしながら行うところです。ラジオ体操のような動きをイメージするとわかりやすく、運動前のウォーミングアップに適しています。

3. バリスティックストレッチ

バリスティックストレッチは、動きに反動を用いるストレッチのことです。筋肉に瞬間的な刺激を段階的に加えることで、可動域いっぱいまでストレッチしていく方法です。ただし、反動を使うため筋肉や腱を痛めやすく、特に体が温まっていない時に実施するとかえって筋肉を傷めることもあるので、取り組む際は十分に注意する必要があります。

4. PNFストレッチ

PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)は固有受容性神経筋促通法と呼ばれ、1940年代にアメリカで誕生した理学療法の一手技です。筋肉の収縮と弛緩を組み合わせて行うのが特徴で、関節の可動域を大きく広げる効果が期待できるだけでなく、関節の連動性や動きの質の向上にも役立つとされています。ただし、効果的かつ安全に行うには専門的な知識が必要なため、理学療法士やトレーナーの指導のもとで行うのが理想的です。

5. クライオストレッチ

まだ日本では馴染みの少ない方法ですが、元々はケガからのリハビリとして使われていたものです。アイシング(冷却)によって筋肉の感覚が低くなった状態を利用して、可動域を上げていくストレッチ方法です。

このように、ストレッチングといっても実に多種多様な種類があり、それぞれで得られる効果も微妙に異なります。ストレッチングは、取り組むスポーツの種類、自分の目的、場面などに応じて使い分ける必要があります。例えば、静的ストレッチ(スタティック・ストレッチ)は運動後のストレッチとして、動的ストレッチ(ダイナミック・ストレッチ)は運動前のストレッチとして適しています。

ストレッチを行う際の注意点

ストレッチを行う際に、気をつけなければいけないポイントがあります。

① ストレッチ中に違和感があったり、痛みを感じるときは無理をしない。
「少し痛くて気持ち良い」と感じるくらいが、ちょうどよいストレッチです。しかし、痛いのを我慢しすぎていると“オーバーストレッチ”となってしまい、筋肉を傷めてしまう恐れがあるので注意が必要です。

② 炎症や、こわばった関節の痛み、神経痛があるときは実施をやめる。
こういった場合は、筋肉や関節に何らかの異常が生じている可能性があります。原因がはっきりして、ストレッチをしても問題がないという判断になるまでは、実施を控えた方が良いでしょう。

③ 急なケガをした直後には行わない。
捻挫や打撲、肉離れなどの直後は、その患部周辺に対してストレッチをしてはいけません。足首の捻挫のときに前腕のストレッチをするなど、関係のない部位であれば問題はありませんが、足関節に付着している筋肉や周辺は、まずは安静が基本です。その後、医師の診断のもとで動かしてもよいということであれば、ストレッチを行うことで回復が早くなる可能性があります。

④ 体調が悪いときや、極度の疲労を感じている場合は控える。
当然ですが、熱があったり身体に異常を感じるときは、無理をせずに安静にすることが大切です。

ストレッチングには、おおむね2〜3メッツ相当の運動強度があるといわれています。2〜3メッツ程度の運動は特別激しいものではありませんが、筋肉や体の温度を温めることにより柔軟性を向上させ、身体をメインの運動に備える効果があります。

ストレッチングについてのまとめ

ストレッチングは、筋肉や腱を伸ばして柔軟性・関節可動域を高め、ケガ予防やリラックスに役立つ運動です。静的・動的・バリスティック・PNF・クライオなど種類があり、それぞれ特徴が異なります。基本は「運動前は動的ストレッチ、運動後は静的ストレッチ」と使い分けるのがポイント。痛みを我慢せず、ケガの直後や体調不良時は控えるなど、安全に配慮しながら目的に合ったストレッチを取り入れましょう。

参考文献・出典

・厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

・日本スポーツ協会https://www.japan-sports.or.jp/

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