腓骨筋群(長腓骨筋、短腓骨筋)のパートナーストレッチ
腓骨筋群(長腓骨筋・短腓骨筋)のパートナーストレッチとは、すね(下腿)の外側にある腓骨筋群(ひこつきんぐん)の筋肉を、パートナー(補助者)の手を借りて伸ばすストレッチです。
腓骨筋群は足関節を外側へ返す(外反)動作を担い、内反捻挫を防ぐ外側の支持機構として働きます。パートナーが両手で足首を支え、股関節を屈曲・内転させながら足関節を内反させることで、すね外側の腓骨筋群を伸ばします。
一人では作りにくい内反の角度を、パートナーが安全にサポートできるのが特徴で、スポーツ現場やコンディショニングの場で用いられます。
このページでは、腓骨筋群のパートナーストレッチの正しいやり方、動作のポイントや注意点を、初心者の方でも分かりやすいように画像つきで解説します。あわせて回数・セット数もご紹介します。
この記事で分かること:
・このストレッチで伸ばす筋肉(長腓骨筋・短腓骨筋)
・パートナーの正しい手の使い方とフォーム
・足関節を内反させて伸ばすコツ
・股関節を屈曲・内転させて腓骨頭を固定する理由
・関連ストレッチ種目
ストレッチする筋肉
すね外側の「腓骨筋群」を「足関節の内反」で伸ばす機能解剖
このストレッチで主に伸ばす筋肉は長腓骨筋・短腓骨筋です。
① 腓骨筋群の特徴
・すね(下腿)の外側に位置する
・長腓骨筋・短腓骨筋は腓骨の外側から起こり、足の外側〜足底につく
・足関節外側の支持機構として、内反捻挫を防ぐ「防波堤」の役割を持つ
・足部の縦アーチ・横アーチの維持にも関与する
② 腓骨筋群の作用
・足の外反(足の裏を外側に向ける/小指側を持ち上げる)
・足関節の底屈(長腓骨筋・短腓骨筋)
「作用の逆方向で伸ばす」のが機能解剖の核:
筋肉はその作用と逆の動きで伸びます。腓骨筋群は足を外反させる働きを持つため、その逆である足関節の内反で伸びます。
① 足関節を内反させる
・足の裏を内側に向ける(外反の逆)
・すね外側の腓骨筋群が伸びる
② 膝屈曲位で他動的に行う
・パートナーが内反方向へ導くことで、一人では作りにくい角度まで安全に伸ばせる
「該当者」:
腓骨筋群のパートナーストレッチが向いている方:
① アスリート全般=足関節外側のコンディショニング
② ランナー・球技選手=ターンや着地が多い競技者
③ すね外側・足首外側が張りやすい方
④ 足首の外側に違和感が出やすい方
⑤ トレーナー・施術者が対象者に行う場面
関節の動き

ストレッチの方法
- パートナーはストレッチする側の反対側に立ち、両手で足首を包み込むように把握します。
- 股関節を軽度屈曲させ、重心を移動させながら股関節を内転させ、両手を使いながら足関節を内反させます。
- 腓骨筋群にストレッチ感を得たらその状態を20〜30秒維持させます。
- 片側が終ったらもう片側も同様に行います。
- 以後、必要に応じ、3〜4セット繰り返します。
「両手で足首を保持+股関節を屈曲・内転+足関節を内反」が本質
腓骨筋群のパートナーストレッチの動作:
① 開始姿勢
・対象者は仰向けになる
・パートナーはストレッチする側の反対側に立つ
② パートナーの手の位置
・両手で足首を包み込むように把握する
③ 動作
・股関節を軽度屈曲させる
・重心を移動させながら股関節を内転させる
・両手を使いながら足関節を内反させる
④ 維持
・腓骨筋群にストレッチ感が出たら20〜30秒維持
⑤ 片側が終わったらもう片側
⑥ 3〜4セット繰り返し
「足関節を内反させる」:
すね外側に効かせる最重要ポイント:
① 内反
・足の裏を内側に向け、腓骨筋群の外反作用と逆方向へ
② 効果
・すね外側の腓骨筋群が伸びる
「両手で足首を保持し、ゆっくり内反させる」:
安全に伸ばすポイント:
① 両手で足首を支える
・足首が安定し、狙った内反の角度を保ちやすい
② ゆっくり動かす
・急に力を加えず、伸び感が出るところまで段階的に
ONE-POINT
- 股関節を屈曲、内転する目的は大腿二頭筋を同時に伸張させ、腓骨頭(ひこっとう)を固定して腓骨筋群のストレッチを行いやすくするという目的があります。
「股関節の屈曲・内転で大腿二頭筋を伸張させ、腓骨頭を固定する」理由
腓骨筋群のパートナーストレッチの最大のポイント:
「なぜ股関節を屈曲・内転させるのか」:
① 大腿二頭筋を同時に伸張させる
・大腿二頭筋は腓骨頭に停止する筋肉
・股関節の屈曲・内転で大腿二頭筋が伸張・緊張する(元記事のポイント)
② 腓骨頭を固定する
・大腿二頭筋が緊張することで腓骨頭が安定し、固定される(元記事のポイント)
③ 結果
・腓骨筋群は腓骨から起こるため、腓骨頭が固定されることで腓骨筋群のストレッチが行いやすくなる(元記事のポイント)
「反動を使わない・ゆっくり伸ばす」:
① パートナーは急に力を加えない
・ゆっくり内反させ、20〜30秒維持する
「声かけで強さを確認する」:
① 対象者の伸び感・痛みは外から分からない
・パートナーは声をかけながら、痛みのない範囲に調整する
「痛みがあれば中止する」:
① すね外側・足首外側に痛みや違和感が出た場合
・すぐに中止する
・足関節の内反は捻挫の方向でもあるため、足首に外傷・捻挫の既往がある方は特に無理をしない
反復回数とセット数
腓骨筋群のパートナーストレッチの目安:
- コンディショニング・運動後ケア=左右20〜30秒×3〜4セット
- すね外側・足首外側が張りやすい方=左右20〜30秒×3〜4セット
- 軽めのケア=左右20〜30秒×1〜2セット
※左右両方実施します。
※反動をつけず、痛みのない範囲で行います。
※内反は捻挫の方向のため、無理のない範囲で行います。
関連種目
■ すね・足首まわりのストレッチ系■
【前脛骨筋のパートナーストレッチ・後脛骨筋ストレッチ・下腿三頭筋(ふくらはぎ)ストレッチ・足底のストレッチ】
■ すね外側・足首のトレーニング(強化)■
【チューブを使った外反運動・カーフレイズ・足首の外反エクササイズ】
■ 関連部位のストレッチ■
【大腿二頭筋(外側ハムストリングス)のパートナーストレッチ・腓腹筋ストレッチ・ヒラメ筋ストレッチ】
まとめ
腓骨筋群のパートナーストレッチは、パートナーが両手で足首を支え、股関節を屈曲・内転させながら足関節を内反させて、すね外側の長腓骨筋・短腓骨筋を伸ばす二人組のストレッチです。腓骨筋群は足の外反+底屈に働くため、その逆の内反で伸ばします。股関節を屈曲・内転させるのは、腓骨頭に停止する大腿二頭筋を伸張させて腓骨頭を固定し、腓骨筋群を伸ばしやすくするためです。反動を使わず・痛みのない範囲で20〜30秒維持・左右3〜4セットを守り、内反は捻挫の方向でもあるためパートナーは声をかけながら安全に行いましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレッチング協会「長腓骨筋・短腓骨筋の起始と停止・作用と神経支配」https://j-stretching.jp/anatomy/peroneus-longus-muscle
・日本整形外科学会「足部疾患・足関節捻挫」https://www.joa.or.jp/
・日本足の外科学会https://www.jssf.jp/





