レスリングのための筋力トレーニングとは、相手を掴む握力・引く力・組み合いを支える全身の筋肉を、バランスよく鍛える筋力トレーニングのメニューです。
レスリングで最も要求されるのが握力(掴む力)です。試合中は常に相手を掴んで引き合うため、握力と前腕・上腕の筋持久力が欠かせません。ただし握力だけでなく、引く力の背部や踏ん張る下半身など、全身をバランスよく鍛えることが重要です。
このページでは、レスリングに必要な筋肉と、その筋トレメニューを、初心者の方にも分かりやすいように画像つきで解説します。あわせて回数・セット数(RM)の考え方もご紹介します。
この記事で分かること:
・レスリングに必要な筋肉(握力/前腕・背部・全身)
・相手を掴む握力がなぜ重要か
・パートナーを使う他重トレーニングの考え方
・全身をバランスよく鍛える理由
レスリングのトレーニング概要
レスリングで最も要求されるのが握力、つまり掴む力とされています。
柔道着には襟や袖など掴むところがありますが、レスリングのコスチュームは身体にフィットしていて掴むところがありません。そのため相手の身体そのものを掴む必要があり、レスリングでは相手を掴むための握力が強く要求されるのです。
しかしただ握力を鍛えればいいというわけではなく、全身もバランスよく鍛えなければなりません。どんな筋力トレーニングにおいても握力を使うものが多いので、握力ばかり鍛えていては他のトレーニングがおろそかになってしまいます。
そこでレスリングの選手が実行しているトレーニングが、自重トレーニングならぬ他重トレーニングです。要は1人2組となり、自分のパートナーを抱えて走ったり持ち上げたりする筋力トレーニングです。ダンベルやバーベルを使ったトレーニングは器具が掴みやすいため、握力の向上にはいまひとつなのです。しかし人間の身体であれば掴みづらい分、筋力トレーニングを行いつつ握力を鍛えることもできます。
しかしパートナーがいつでもいるわけではないので、今回は一般的な器具を使ったトレーニングを紹介します。
レスリングに必要な筋肉(部位別の役割)
レスリングの組み合いは、掴む力と全身の連動で決まります。
① 握力・前腕・上腕(掴む・引く)
・前腕屈筋群・上腕二頭筋
・相手を掴み、引きつける力の中心。多くの種目で同時に鍛えられる
・種目:ロウプーリー・チンニング(掴んで引く動作)
② 背部(引きつけ・組み合い)
・広背筋・大円筋・僧帽筋
・相手を引きつけ、組み合いで主導権を握る
・種目:ロウプーリー・チンニング・デッドリフト
③ 上半身・肩・胸(押す・抑える)
・大胸筋・三角筋・上腕三頭筋
・相手を押し込み、抑え込む
・種目:バーベルベンチプレス・シーテッドダンベルプレス・サイドレイズ
④ 下半身(踏ん張り・タックル)
・大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリングス・内転筋群
・タックルや踏ん張り、低い体勢を支える
・種目:バーベルスクワット・サイドランジ
⑤ 体幹・腹筋(姿勢の安定・力の伝達)
・腹直筋・腹斜筋群
・組み合いで崩されない体幹の安定性をつくる
・種目:クランチャー・ツイスティングシットアップ
「握力を中心に全身を連動させる」:
レスリングは掴む力を起点に、背部で引き、下半身で踏ん張り、体幹で崩されない体をつくります。握力だけに偏らず、全身をバランスよく鍛えることが組み合いの強さにつながります。
他重トレーニングと握力強化の考え方
握力は専用種目だけでなく、実戦に近い形でも鍛えられます。
① パートナーを使う他重トレーニング
・パートナーを抱えて運ぶ・持ち上げることで、掴みづらい身体を相手に握力と全身を同時に鍛える
② 器具種目でも握力は使う
・ロウプーリーやチンニングなど引く種目では、グリップを保つ握力も同時に鍛えられる
③ 握力に偏らずバランスを
・握力ばかりに集中せず、押す・引く・踏ん張る全身の種目を組み合わせる
一般にコンパウンド種目(色々な筋肉が複合して作用する種目のこと)や最優先して鍛えたい種目などをトレーニングの最初に行います。必要に応じて変更してください。
レスリングの筋トレメニュー
まとめ
レスリングのための筋力トレーニングは、相手を掴む握力・前腕を中心に、引きつける背部、押さえ込む上半身、踏ん張る下半身、崩されない体幹までを全身バランスよく鍛えることが重要です。握力は専用種目だけでなく、引く種目やパートナーを使う他重トレーニングでも実戦的に鍛えられます。握力に偏らず、押す・引く・踏ん張るの全身種目を組み合わせて取り組みましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本レスリング協会https://www.japan-wrestling.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/















