デッドリフト(dead lift)
デッドリフトとは主に脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、大臀筋(だいでんきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリングスを鍛える筋トレ種目です。
デッドリフトは「死んだ重量を持ち上げる」の意味で、床に置かれたバーベルを直立姿勢まで持ち上げる全身の代表的な複合種目です。
バーベルスクワット・ベンチプレスと並ぶ「BIG3」の1つとして位置づけられ、後面チェーン(脊柱起立筋+大臀筋+ハム)+下半身+背中+僧帽筋+握力+全身を一度に鍛えられる、筋トレの王様種目です。
このページではデッドリフトの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、目的別(筋力アップ・筋肥大・ダイエット)に応じた重量、回数、セット、ジャパニーズスタイル(スモウ)vsヨーロピアン(コンベンショナル)まで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・デッドリフトで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・呼吸法と目的別の重量・回数
・ジャパニーズvsヨーロピアンスタイルの違い
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
後面チェーン+下半身+背中を全身刺激
デッドリフトの特徴:
① 主働筋:脊柱起立筋
・背骨の両側に走る
・体幹伸展=姿勢維持
・「アイソメトリック」に活動
② 主働筋:大臀筋
・人体最大の筋
・「ヒップアップ」の主役
・股関節伸展
③ 主働筋:大腿四頭筋
・「もも前」4部位
・膝関節伸展
④ 主働筋:ハムストリングス
・「もも裏」
・股関節伸展
⑤ 強い補助:僧帽筋・広背筋
・バーベル保持
・背中全体を強化
⑥ 補助:前腕屈筋群(握力)
・高重量保持
・握力UP
「BIG3」の1つ:
筋トレ3大種目:
① バーベルスクワット
・下半身
・「キング」
② ベンチプレス
・胸+上半身プッシュ
③ デッドリフト(本記事)
・背中+全身プル
・「全身トレ」
④ これら3種目
・「BIG3」
・パワーリフティング競技種目
・「筋トレの基本」
「後面チェーン(ポステリアチェーン)」の王者:
身体の後面の連動筋群:
① 構成
・脊柱起立筋+大臀筋+ハムストリングス
・本種目で網羅
② 機能
・股関節+体幹伸展
・「立つ・走る・跳ぶ」動作
③ デッドリフトは王者
・後面チェーン最強の種目
・「最高重量」を扱える
「死んだ重量を持ち上げる」:
「デッドリフト」の意味:
① Dead Lift
・「死んだ重量」
・「静止した重量」を持ち上げる
② 由来
・床に置かれたバー=動かない(死んでいる)
・それを持ち上げる
③ 効果
・「ゼロから動かす」
・最大筋力を発揮
「多関節運動(コンパウンド)」の極み:
デッドリフトの特徴:
① 股関節+膝関節+足関節+体幹
・ほぼ全身の関節
・「全身運動」
② 効率的
・全身を同時刺激
・短時間で効果
③ 最高重量
・BIG3で最も重い
・男性400kg超えも
関節の動き

体幹部(躯幹部)においては伸展、股関節においては伸展、膝関節においては伸展動作が行われます。
運動の方法


- 脚幅は肩幅よりやや広目に拡げ、つま先はやや外側に向けます。胸をしっかりと張り、背筋を弓なりに保ちながら腰を落とし、オルタネイト・グリップ(リバース・グリップ)でバーベルを握ります。このとき視線は前方かやや上を向くようにします。(写真1)
- 体幹の弓なりの姿勢を保ちながら膝と股関節を伸ばしていき、床にあるバーベルを腰の高さまで引き上げます。このとき、なるべくバーベルの軌道はすねと大腿部のすぐ近くを通過するように心掛けてください。フィニッシュではしっかりと胸を張り、肩甲骨を内側に寄せるように意識します。(写真2)
- バーベルを挙上したら上体の姿勢を崩さないようにコントロールしながらゆっくりと同じ軌道を通りながらスタート位置まで戻します。
- 以後、運動動作を必要回数繰り返します。
「胸を張る+背筋を弓なり」が最重要
デッドリフトの姿勢:
① 脚幅
・肩幅よりやや広め
・つま先やや外向き
② 開始位置(写真1)
・腰を落とす
・胸を張る
・背筋を弓なり(ニュートラル)
③ グリップ
・オルタネイト・グリップ(順手+逆手)
・肩幅でバーを握る
④ 視線
・前方かやや上
・下を向くと背中が丸まる
「オルタネイト・グリップ(リバース・グリップ)」:
握り方の意味:
① 順手+逆手
・片手が順手
・もう片手が逆手
② 効果
・バーベルが回転しない
・高重量保持可能
・握力の限界突破
③ 注意
・逆手の上腕二頭筋に負担
・毎セット左右交代
・「上腕二頭筋断裂」のリスク
④ 代替
・両手順手+ストラップ
・初心者向き
「バーが脚のそばを通る」:
バーベルの軌道:
① 重要
・バーが脚から離れない
・すね+大腿部のそば
② バーが離れると
・腰椎への負担大
・怪我のリスク
③ 解決法
・「バーが脚を擦る」イメージ
・すねギリギリ
「フィニッシュで胸を張る+肩甲骨を寄せる」:
完了位置の意識:
① 直立姿勢
・股関節+膝関節完全伸展
② 胸を張る
・「ロックアウト」
③ 肩甲骨を寄せる
・僧帽筋+広背筋を収縮
④ 結果
・背中全体を強化
・「美姿勢」UP
「背中を丸めない」:
最重要の注意点:
① 背中の状態
・常にまっすぐ(ニュートラル)
・胸を張る
② 背中が丸まると
・腰椎への剪断力大
・椎間板への負担
・「ぎっくり腰」「ヘルニア」のリスク
呼吸方法
- 開始姿勢で息を吸い、息を止めながらバーベルを持ち上げます。ステッキングポイントを越えたら息を吐き出しながら開始姿勢にバーベルを戻します。
ONE-POINT
- ワイドスタンスで行うデッドリフトをジャパニーズスタイル・デッドリフト、ナロースタンスで行うデッドリフトをヨーロピアンスタイル・デッドリフトと呼ぶことがあります。ワイドスタンスの場合は膝の内側に腕がくるようにし、ナロースタンスの場合は膝の外側に腕がくるようにします。
- 腰背部に対しとてつもなく負担の掛かる種目なので腰を痛めている方の実施は控えた方が良いと思います。また、傷害予防のためにリフティングベルトの着用をお勧めします。
- 運動動作中、腰背部のカーブを常に保つように心掛けます。
「ジャパニーズvsヨーロピアン」スタイルの違い
デッドリフトの2大スタイル:
「ジャパニーズスタイル(スモウ)」:
① 特性
・ワイドスタンス(肩幅の1.5倍以上)
・膝の内側に腕
・つま先大きく外向き
② 別名
・「スモウデッドリフト」
・相撲取りのような姿勢
③ 効果
・大臀筋+内転筋メイン
・腰椎への負担少
・身長低い人に有利
「ヨーロピアンスタイル(コンベンショナル)」:
① 特性
・ナロースタンス(肩幅程度)
・膝の外側に腕
② 別名
・「コンベンショナルデッドリフト」
・「通常のデッドリフト」
③ 効果
・脊柱起立筋+ハム+大臀筋
・「全身トレ」
・身長高い人に有利
「使い分け」:
① 大臀筋・内転筋強化=スモウ
② 背中全体・全身強化=コンベンショナル
③ 腰痛持ち=スモウ(腰負担少)
④ 身長=低い人はスモウ/高い人はコンベンショナル
⑤ 両方併用=完璧
「リフティングベルト」:
腰部保護の必需品:
① 役割
・腹圧UPのサポート
・腰部の安定
② 推奨
・高重量=必須
・初心者=慣れてから
③ 効果
・怪我予防
・パフォーマンスUP
「腰椎リスク」への徹底対策:
該当者は禁忌:
① 慢性腰痛の方
② 椎間板ヘルニア経験者
③ 脊椎分離症・すべり症
④ 腰椎圧迫骨折経験者
代替:「ヒップスラスト」=腰に優しい
反復回数とセット数
目的別に応じた反復回数とセット数をご紹介します。
- 筋力アップ=運動動作が3〜6回で限界を迎えるような高負荷
- 筋肥大=運動動作が6〜10回で限界を迎えるような中負荷
- ダイエット=運動動作が12〜15回反復可能な低負荷
※初心者の方は正確なフォームで10〜12回程度反復できる重量で行います。
※セット数は3〜5セットくらいで行います。
「自重の1.5〜2倍以上」が中・上級者の目安:
デッドリフトの重量設定:
① BIG3で最高重量
・スクワットより重い
・ベンチプレスの2倍以上
② 一般的な目安(バーベル合計)
・初心者=20kg(バーのみ)〜60kg
・中級者=自重〜自重1.5倍
・上級者=自重2倍以上
③ フォーム優先
・重量より正確性
・「背中まっすぐ」を意識
デッドリフトとデッドリフト系種目の使い分け
各種目の特性:
「コンベンショナルデッドリフト(本記事)」:
① 特性
・多関節・最高重量
・全身トレ
② 効果
・後面チェーン+全身
「スモウデッドリフト」:
① 特性
・ワイドスタンス
・大臀筋+内転筋メイン
「ルーマニアンデッドリフト」:
① 特性
・立位からスタート
・膝は軽く曲げる
② 効果
・ハムストリングス全体+大臀筋
「スティッフレッグド・デッドリフト」:
① 特性
・膝はほぼ伸ばす
② 効果
・ハム上部特化
「下半身(後面)メニュー」での位置づけ:
理想的な順序:
① デッドリフト(本記事)(多関節・最高重量・全身)
② スクワット(多関節・高重量・両脚)
③ ルーマニアンデッドリフト(ハム全体)
④ スティッフレッグド・デッドリフト(ハム上部)
⑤ グッドモーニング・エクササイズ(ヒップヒンジ)
⑥ ヒップスラスト(大臀筋集中)
「デッドリフトの5大効果」:
① 後面チェーン+全身強化
・「BIG3」の最強
② 全身の筋肥大促進
・ホルモン分泌UP
③ 基礎代謝UP
・大きな筋を多数刺激
④ 握力UP
・前腕屈筋群を強化
⑤ 機能性UP
・日常の「物を持ち上げる」動作
「アスリート」必須:
該当スポーツ:
① 陸上競技
・スプリント・跳躍
② サッカー・ラグビー・アメフト
・パワー
③ バスケットボール・バレーボール
・ジャンプ力
④ 格闘技
・下半身+背中のパワー
⑤ パワーリフティング
・競技種目
「日常生活」にも有効:
機能的な効果:
① 物を持ち上げる
・「正しい持ち上げ方」
・「ぎっくり腰」予防
② 引っ越し・荷物運び
・パワーUP
③ 健康寿命延伸
・後面チェーン強化
「ヒップアップ」効果:
女性に人気の理由:
① 大臀筋強化
・「ヒップアップ」UP
② もも裏引き締め
・ハムストリングス強化
③ 美しい後ろ姿
・立体的なお尻
「現代人の腰痛問題」:
予防効果:
① 「正しいデッドリフト」
・腰痛予防
・後面チェーン強化
② 一方で「間違ったフォーム」
・腰痛悪化のリスク
・「諸刃の剣」
③ 解決
・正確なフォームを習得
・軽重量から
「初心者の注意点」:
安全な始め方:
① まずバーのみ(20kg)
・フォーム習得
② 漸進的負荷
・5〜10kgずつUP
・無理しない
③ パワーラック使用
・セーフティバー
・安全確保
④ 補助者・トレーナー
・初心者は推奨
関連する効果:
① 後面チェーン全体の発達
・脊柱起立筋+大臀筋+ハム
② 下半身全体の発達
・大腿四頭筋も
③ 背中・僧帽筋・広背筋強化
・「分厚い背中」
④ 握力UP
・前腕屈筋群
⑤ 全身の筋肥大
・ホルモン分泌
⑥ 基礎代謝UP
⑦ ヒップアップ+もも裏引き締め
⑧ 健康寿命延伸+姿勢改善
関連する障害の予防+注意:
① 腰痛・腰椎障害
・最大のリスク
・該当者は禁忌
・軽重量+ベルト
② 椎間板ヘルニア
・経験者は避ける
③ 膝関節障害
・膝の位置に注意
④ 上腕二頭筋断裂
・逆手側のリスク
・ストラップ推奨
⑤ 高血圧
・バルサルバ法に注意
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【バーベルスクワット・フロントスクワット・ルーマニアンデッドリフト・スティッフレッグド・デッドリフト・グッドモーニング・エクササイズ・ヒップスラスト・フォワードランジ・バックランジ・サイドランジ・ブルガリアンスクワット】
■ マシントレーニング■
【レッグプレス・レッグカール・レッグエクステンション・バックエクステンション】
■ 自重トレーニング■
【自重スクワット・ヒップリフト・グルートブリッジ・シングルレッグデッドリフト】
まとめ
デッドリフトについて解説してきた内容を整理します。
・脊柱起立筋+大臀筋+大腿四頭筋+ハムストリングス+背中+僧帽筋+握力を鍛える
・「BIG3」の1つ(スクワット・ベンチプレスと並ぶ)
・「死んだ重量を持ち上げる」意味
・「多関節運動(コンパウンド)」+全身運動
・脚幅は肩幅よりやや広め
・つま先はやや外向き
・胸を張る+背筋を弓なり(最重要)
・腰を落とす
・オルタネイト・グリップ(順手+逆手)
・視線は前方かやや上
・体幹弓なりを保ちながら膝と股関節を伸ばす
・バーが脚のそばを通る
・フィニッシュで胸を張る+肩甲骨を寄せる
・背中を丸めない(絶対)
・バルサルバ法で体幹を固める
・スモウ(ワイド)vsコンベンショナル(ナロー)
・目的別:筋力3〜6回/筋肥大6〜10回/ダイエット12〜15回
・初心者は10〜12回×3〜5セット
・リフティングベルト推奨
・初心者はバーのみから
・腰痛・椎間板ヘルニアの方は禁忌
デッドリフトは後面チェーン全体+下半身+背中+僧帽筋+握力+全身の同時強化+全身の筋肥大促進+基礎代謝UP+ヒップアップ+健康寿命延伸+スポーツパフォーマンスUP+日常の物を持ち上げる動作に直結する筋トレの王様種目(BIG3)です。BIG3(バーベルスクワット+ベンチプレス+デッドリフト・本記事)を軸にしたメニュー構成で、全身を多角的に発達させることができます。ただし腰椎リスクのため、胸を張る+背筋を弓なり+バーが脚のそば+オルタネイト・グリップ+ベルト+軽重量から+正確なフォームでデッドリフトの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本パワーリフティング協会https://www.jpa-powerlifting.or.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「腰部疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/





