エキセントリックアブドミナル・アームフォワード
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードとは主に腹直筋(ふくちょくきん)、腹斜筋群(ふくしゃきんぐん)、腸腰筋(ちょうようきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)(大腿直筋)を鍛える筋トレ種目です。
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードは「逆方向シットアップ=エキセントリック収縮特化+骨盤後傾+背部柔軟性UP」と呼ばれる、シットアップの逆動作=座位から仰向けにゆっくり倒れる腹筋特化の自重種目です。
通常のシットアップが「コンセントリック収縮(短縮性収縮)=起こす」を主目的にするのに対し、本種目は「エキセントリック収縮(伸張性収縮)=倒れる」を主目的とし、「腹筋のネガティブワーク強化=筋肥大効果大+骨盤後傾+背部柔軟性UP+反り腰改善」に直結する、リハビリ・コンディショニング分野で重要視される名種目です。
このページではエキセントリックアブドミナル・アームフォワードの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。
この記事で分かること:
・エキセントリックアブドミナル・アームフォワードで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・呼吸法と腕の位置による負荷調整
・骨盤後傾+反り腰改善効果
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
腹直筋+腹斜筋+腸腰筋+大腿直筋をネガティブワークで集中刺激
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの特徴:
① 主働筋:腹直筋
・「シックスパック」の主役
・体幹屈曲を維持(エキセントリック)
② 協働筋:腹斜筋群
・「くびれ」
③ 協働筋:腸腰筋
・股関節屈曲を維持
④ 補助筋:大腿直筋
・2関節筋
「逆方向シットアップ」:
なぜ逆か:
① 通常のシットアップ
・仰向け→座位に起こす
・「コンセントリック収縮」=短縮性
② エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(本記事)
・座位→仰向けにゆっくり倒れる
・「エキセントリック収縮」=伸張性
③ 結果
・腹筋のネガティブ強化
・筋肥大効果大
「エキセントリック収縮特化」:
筋肥大の核心:
① エキセントリック収縮(伸張性収縮)
・筋肉が伸びながら力を発揮
・「ブレーキ動作」
② 効果
・筋肥大効果が大
・「筋繊維のミクロな損傷」誘発
・超回復で大きくなる
③ 研究
・近年の研究でエキセントリックが重要視
・コンセントリックより筋肥大効果大
④ 本種目の効果
・腹筋のエキセントリックを集中強化
・「効かせる」感覚抜群
「骨盤後傾」効果:
姿勢改善の核:
① 骨盤後傾とは
・骨盤の上部が後ろへ倒れる
・「テールタック」
② 反り腰の改善
・骨盤前傾=反り腰
・骨盤後傾で改善
③ 本種目の動作
・「尾骨→仙骨→腰椎」順に床へ
・骨盤後傾を学習
④ 結果
・「反り腰改善」
・「美姿勢」UP
「背部柔軟性UP」効果:
副次的効果:
① ゆっくり倒れる動作
・背中を一つずつ床に
・「脊柱の分節運動」
② 効果
・背部の柔軟性UP
・「脊柱の動き」滑らか
③ 結果
・姿勢改善
・腰痛予防
「多関節運動(コンパウンド)」:
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの特徴:
① 体幹屈曲+股関節屈曲
・2関節を動かす(保持)
② 腹直筋+腸腰筋+大腿直筋
・同時刺激
③ エキセントリック特化
・「ネガティブワーク」強化
関節の動き

体幹部においては屈曲→伸展、股関節においては屈曲→伸展動作が行われます。
運動の方法


- フロアの上で仰向けになり膝の角度を90度くらいに曲げておきます。このとき上半身の角度は45°くらいにしておきます。(写真1)
- 目線は自分のヘソを覗き込むようにし、下腹部を収縮させ、尾骨、仙骨、腰椎の順にフロアに触れていくようにゆっくりと背中を床につけていきます。(写真2)
- 以後、これらの動作を繰り返します。
「尾骨→仙骨→腰椎の順にゆっくり倒れる」が本質
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの動作:
① 開始姿勢(写真1)
・フロアに仰向けから半身を起こす
・膝90°
・上半身45°
・両手を前方へ伸ばす(アームフォワード)
② 動作の意識
・「ヘソを覗き込む」=丸める
・「下腹部を収縮」=腹圧
・「尾骨→仙骨→腰椎」順に床へ
③ フィニッシュ位置(写真2)
・背中が完全に床に
・「分節的な動き」
④ 結果
・腹筋のエキセントリック収縮
・背部柔軟性UP
・骨盤後傾学習
「アームフォワード」:
腕の位置の意味:
① 「アーム」=腕
・「フォワード」=前方
② 両手を前方に伸ばす
・「軽負荷」のレベル
③ 結果
・初心者でも実施可能
「ヘソを覗き込む」:
腹筋への集中:
① 「ヘソを覗き込む」動作
・背中を丸める
・腹直筋を最大収縮維持
② 失敗例
・背中を真っ直ぐのまま倒れる
・「腹筋への刺激」不足
③ 解決法
・「ヘソを覗き込む」意識
・「丸めて倒れる」
「分節的に床へ」:
最重要のテクニック:
① 「尾骨→仙骨→腰椎」
・骨盤から順に床へ
・「分節運動」
② 効果
・脊柱の柔軟性UP
・骨盤後傾を学習
③ 「ドサッ」と倒れるのはNG
・反動を使う=効果なし
・背中を痛めるリスク
「等速でゆっくり」:
エキセントリック収縮の極意:
① 「等速」=一定の速度
・3〜5秒かけて倒れる
② 効果
・「エキセントリック収縮」最大化
・筋肥大効果UP
③ 結果
・「ネガティブワーク」の効果
呼吸方法
- 開始姿勢で息を吸い、息を吐きながら運動動作を行います。元の位置に戻しつつ息を吸います。
ONE-POINT
- このエクササイズではシットアップとは異なり、腹直筋のネガティブワークが行われます。腹部の筋力アップだけでなく、骨盤の後傾と背部の柔軟性を向上させる効果があります。
- これ以外に腕の位置を胸、頭上に置くという方法があります。負荷として一番強いのは頭の上に腕を置く方法です。
- 床に背中をつけていく動作は等速でゆっくりと行います。
「腕の位置」で負荷を無段階に調整できる
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの最重要テクニック:
「アームフォワード(腕を前方)(本記事・最弱)」:
① 姿勢
・両手を前方に伸ばす
② 効果
・負荷最弱
・「初心者」向け
「アームクロス(腕を胸の前)」:
① 姿勢
・両手を胸の前で交差
② 効果
・負荷中
・「中級者」向け
「アームオーバーヘッド(腕を頭上)」:
① 姿勢
・両手を頭の上に
・「万歳」
② 効果
・負荷最強
・「上級者」向け
・テコの原理で負荷大
「テコの原理」:
物理的説明:
① 両手=オモリ
・体の上方に置くほど重い
・体の下方に置くほど軽い
② 支点(股関節)からの距離
・距離が長い=負荷大
③ 結果
・腕の位置で無段階調整
「漸進的負荷の原則」:
段階的な強化:
① アームフォワードから
・「最弱」でフォーム習得
② 慣れたらアームクロス
・「中級」へ
③ さらにアームオーバーヘッド
・「上級」へ
④ 結果
・挫折しない
・継続できる
「腹直筋のネガティブワーク」:
シットアップとの最大の違い:
① シットアップ
・起こす=コンセントリック
・戻す=エキセントリック
・両方含む
② エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(本記事)
・「倒れる」のみ=エキセントリック特化
・「起こす」は手で補助orサポート
③ 結果
・ネガティブ強化に集中
・筋肥大効果大
「等速」が重要:
スピード管理:
① 「等速」=一定速度
・「ドサッ」と倒れない
・3〜5秒かけて
② 効果
・常に筋緊張維持
・「効かせる」感覚UP
反復回数とセット
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの目的別反復回数:
- 筋力アップ=運動動作が8〜10回で限界を迎えるような高負荷(頭上)
- 筋肥大=運動動作が10〜15回で限界を迎えるような中負荷(胸前)
- ダイエット・引き締め=運動動作が15〜20回反復可能な低負荷(前方)
※初心者の方は正確なフォームで10〜15回程度反復できる負荷で行います。
※セット数は3〜4セットくらいで行います。
「中重量×中回数」が原則」:
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの負荷設定:
① エキセントリック収縮特化
・「ゆっくり」が原則
・「等速」3〜5秒
② 慣れたら腕の位置で負荷UP
・前方→胸前→頭上
③ フォーム優先
・「分節的に床へ」意識
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードと他の腹筋種目の使い分け
各種目の特性:
「シットアップ(イージースタイル)」:
① 特性
・膝曲げ+両手太もも前
・仰向け→座位
② 効果
・腹直筋上部・最弱
「シットアップ」:
① 特性
・仰向け→座位
・コンセントリック特化
② 効果
・腹直筋全体+腸腰筋
「クランチ」:
① 特性
・仰向け→少し起こす
② 効果
・腹直筋上部
「エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(本記事)」:
① 特性
・座位→仰向け=逆方向
・エキセントリック特化
② 効果
・腹直筋+腸腰筋+大腿直筋
・「筋肥大効果大」
・「骨盤後傾+反り腰改善」
「使い分け」:
① 通常の腹筋トレ=シットアップ・クランチ
② 筋肥大特化=エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(本記事)
③ 反り腰改善=本種目
④ 背部柔軟性UP=本種目
⑤ シットアップと併用=コンセントリック+エキセントリック両方
「腹筋メニュー」での位置づけ:
理想的な順序:
① シットアップ(腹直筋全体・コンセントリック)
② エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(本記事)(エキセントリック特化)
③ クランチ(腹直筋上部)
④ レッグレイズ(腹直筋下部)
⑤ プランク(体幹全体)
「反り腰改善」効果:
姿勢への効果:
① 反り腰とは
・骨盤前傾+腰椎前弯過剰
・「ぽっこりお腹」原因
② 本種目の効果
・骨盤後傾を学習
・腹筋+ハム強化
③ 結果
・「反り腰改善」
・「美姿勢」UP
「腰痛改善」効果:
健康への効果:
① 反り腰=腰痛の原因
② 本種目の効果
・骨盤後傾
・腹筋強化
③ 結果
・「腰痛改善」
「ピラティス・ヨガ」との関連:
リハビリ・コンディショニング:
① ピラティスの「ロールダウン」に類似
・分節的に脊柱を動かす
② ヨガの「クランチダウン」に類似
③ 結果
・「機能的な腹筋トレ」
・「リハビリにも有効」
「筋肥大効果」の科学:
エキセントリック収縮の優位性:
① 近年の研究
・エキセントリックの筋肥大効果大
・「コンセントリックの1.5倍」
② 理由
・筋繊維のミクロな損傷大
・超回復で大きくなる
③ 本種目の優位性
・「ネガティブワーク特化」
・シットアップ以上の筋肥大効果
「背部柔軟性UP」:
副次的効果:
① 「分節的に床へ」
・脊柱を一つずつ動かす
・「分節運動」
② 効果
・背部の柔軟性UP
・「脊柱の動き」滑らか
③ 結果
・姿勢改善
・腰痛予防
「現代人の腹筋+姿勢問題」:
なぜ本種目が重要か:
① 長時間座位
・反り腰+ぽっこりお腹
・腹筋弱化
② 解決法
・本種目=腹筋+骨盤後傾
・定期的に
③ 結果
・「反り腰改善+腹筋強化」
・「美姿勢」
「エキセントリックアブドミナル・アームフォワードの3大効果」:
① 腹筋のエキセントリック収縮特化=筋肥大効果大
・「ネガティブワーク」強化
② 骨盤後傾+反り腰改善=美姿勢
・「ぽっこりお腹」解消
③ 背部柔軟性UP+脊柱分節運動
・「ピラティス的効果」
「初心者の注意点」:
安全な始め方:
① アームフォワードから
・「最弱負荷」から
② フォーム優先
・「ヘソを覗き込む」
・「尾骨→仙骨→腰椎」順に
・「等速でゆっくり」
③ 慣れたら腕の位置を変える
・胸前→頭上
④ 「ドサッ」と倒れない
関連する効果:
① 腹直筋+腹斜筋+腸腰筋+大腿直筋の発達
・「腹筋全体」
② エキセントリック収縮特化=筋肥大効果大
・シットアップ以上
③ 骨盤後傾+反り腰改善
・「美姿勢」
④ 背部柔軟性UP
・「脊柱の分節運動」
⑤ 体幹安定性UP
⑥ 姿勢改善
・「ぽっこりお腹」対策
⑦ 腰痛改善
・反り腰由来
⑧ 自宅トレ最適
・道具不要
関連する障害の予防+注意:
① 腰痛
・「等速でゆっくり」
・「ドサッ」と倒れない
・椎間板ヘルニア経験者は慎重に
② 頸椎障害
・頸椎に力入れない
③ 高血圧
・呼吸を止めない
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関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【サイドベント・ロシアンツイスト・ダンベルツイスト・ダイアゴナルベントニーシットアップ】
■ 自重トレーニング■
【シットアップ・シットアップ(イージースタイル)・クランチ・クランチャー・アブクランチ・ツイスティングシットアップ・レッグレイズ・サイドクランチ・プランク・サイドプランク・バイシクルクランチ・Vアップ】
■ マシン・トレーニング■
【アブドミナルマシン・ケーブルクランチ・トルソローテーション】
まとめ
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードについて解説してきた内容を整理します。
・腹直筋+腹斜筋群+腸腰筋+大腿直筋を鍛える
・「逆方向シットアップ=エキセントリック収縮特化+骨盤後傾+背部柔軟性UP」
・「多関節運動(コンパウンド)」+エキセントリック特化
・仰向け→座位の半身起こしから開始(写真1)
・膝90°+上半身45°
・両手は前方に伸ばす(アームフォワード)
・「ヘソを覗き込む」意識
・下腹部を収縮させる
・「尾骨→仙骨→腰椎」順に床へ(最重要・分節運動)
・等速でゆっくり3〜5秒(最重要)
・「ドサッ」と倒れない
・腕の位置で無段階に負荷調整(前方=弱/胸前=中/頭上=強)
・頸椎に負担をかけない
・息を吐きながら倒れ、吸いながら起こす
・目的別:筋力8〜10回/筋肥大10〜15回/引き締め15〜20回
・初心者は10〜15回×3〜4セット
・「アームフォワード」から始める
エキセントリックアブドミナル・アームフォワードは腹直筋+腹斜筋群+腸腰筋+大腿直筋のエキセントリック収縮(ネガティブワーク)特化=筋肥大効果大(シットアップ以上)+骨盤後傾+反り腰改善=美姿勢UP+背部柔軟性UP=脊柱分節運動(ピラティス的効果)+腕の位置で無段階に負荷調整(前方→胸前→頭上)+ぽっこりお腹解消+腰痛改善+リハビリ・コンディショニング分野でも有効+自宅トレ最適に直結する優れた腹筋自重種目です。シットアップ(コンセントリック)+エキセントリックアブドミナル・アームフォワード(エキセントリック・本記事)を組み合わせることで、腹筋を「両方向」から最大限に発達させることができます。ヘソを覗き込む+下腹部を収縮+尾骨→仙骨→腰椎の順に床へ+等速でゆっくり3〜5秒+ドサッと倒れない+腕の位置で負荷調整+正確なフォームでエキセントリックアブドミナル・アームフォワードの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「腰部疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/





