エクスターナルローテーション(external rotation)
エクスターナルローテーションとは主に小円筋(しょうえんきん)、棘下筋(きょくかきん)を鍛える筋トレ種目です。
エクスターナルローテーションは「投球障害肩予防の代表種目」と呼ばれる、肩関節の障害予防やリハビリのために用いられることが多いエクササイズで、この手の種目の中では最も重要なエクササイズの一つです。
このページではエクスターナルローテーションの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、回数、セット、ローテーターカフ強化の重要性まで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・エクスターナルローテーションで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・低負荷高回数の重量・回数
・投球障害肩予防の効果
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
棘下筋+小円筋=ローテーターカフ後方の中心
エクスターナルローテーションの特徴:
① 主働筋:棘下筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・肩関節外旋の主役
・肩関節後方の安定
② 主働筋:小円筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・棘下筋の補助
・外旋+後方の安定
③ 協働筋:菱形筋群・僧帽筋・肩甲挙筋
・肩甲骨の安定
・外旋動作を補助
「ローテーターカフ4筋」:
肩関節の動的安定を司る筋群:
① 棘上筋=外転初動/上方の安定
② 棘下筋(本記事の主役)=外旋/後方の安定
③ 小円筋(本記事の主役)=外旋/後方の安定
④ 肩甲下筋=内旋/前方の安定
「棘下筋+小円筋」の重要性:
ローテーターカフ後方の中心:
① 解剖学的位置
・肩甲骨の後面
・表層〜深層
② 機能
・肩関節外旋=主働筋
・関節包後部の安定
③ 損傷の重要性
・「ホーンブロワー徴候」陽性(小円筋)
・「ドロップアームサイン」(棘下筋)
・腱板損傷で頻発
④ 機能低下の影響
・肩関節の不安定
・投球障害肩
・四十肩・五十肩
「ブレーキングマッスル」:
野球選手にとって最重要:
① ブレーキングマッスル(制動筋)とは
・動きを止める役割の筋
・遠心性収縮で活動
② 投球動作での役割
・フォロースルーで活動
・腕の振りすぎを防ぐ
・関節を守る
③ 棘下筋・小円筋の役割
・「ブレーキングマッスル」の中心
・投球での減速
・肩関節保護
④ 機能不全の問題
・投球障害肩のリスク
・腱板損傷
・パフォーマンス低下
「外旋筋優位」の重要性:
現代人にとって:
① 内旋優位の問題
・大胸筋・肩甲下筋の過緊張
・巻き肩・猫背
・肩関節障害のリスク
② 外旋筋強化の意義
・「内旋優位」を改善
・姿勢改善
・肩関節の機能改善
③ 「外旋筋優位」に強化
・現代人にとって理想
・巻き肩予防
関節の動き

運動方法


- ダンベルを片手に持ち、トレーニングを行う側の腕が上側になるようにベンチ台に横向きになります。
- 肘の角度を90度くらいにし、脇を締め、腕をしっかり身体に固定します。(写真1)
- 肩から肘にかけて一本の軸が通っているようなイメージで弧を描くように肩を外旋させダンベルを持ち上げます。(写真2)
- ダンベルの重さを感じられる程度まで持ち上げたら、今度はゆっくりともとの位置まで下ろします。
「腕が上側」が基本
エクスターナルローテーションの基本フォーム:
① 横向きベンチ+運動側が上
・インターナルローテーションとは逆
・運動側の腕が上側
② 重力を利用
・ダンベルがお腹側=開始位置
・ダンベルが上方=フィニッシュ
・外旋動作で重力に逆らう
③ 肘90度固定
・動作中も角度を変えない
・純粋な肩関節外旋
④ 脇を締める
・上腕と体幹を密着
・棘下筋・小円筋を選択的に活動
「一本の軸」イメージ:
正しい動作の意識:
① 軸の位置
・肩から肘
・その軸を中心に前腕が回旋
② 弧を描く動き
・前腕が水平に弧
・下方→上方へ
③ 失敗例
・肘の角度変化=広背筋に逃げる
・脇が開く=動作軸が崩れる
・肩がすくむ=僧帽筋上部に逃げる
呼吸方法
- 胸の動きに合わせて呼吸を行います。
すなわち胸が開くときに息を吸い、胸が閉じるときに息を吐き出します。
ポイントと注意点※順不同
- グリップの握り方は親指をしっかり巻きつけて行う『サムアラウンドグリップ』を用いるようにします。
- このときダンベルはあまり強く握り過ぎないように気をつけます。
スタート位置に戻す際はできるだけ抵抗に逆らいながら戻すようにします。
こうすることにより、野球のピッチング動作でのブレーキングマッスルでもある棘下筋、小円筋を伸張性筋活動(ネガティブ動作)させることができます。
「ネガティブ動作」を重視
エクスターナルローテーション特有のテクニック:
① 通常の筋トレ
・ポジティブ(持ち上げ)を重視
② エクスターナルローテーション
・ネガティブ(下ろす)も重視
・伸張性筋活動
③ 効果
・「ブレーキングマッスル」の機能改善
・遠心性収縮能力UP
・投球障害肩予防
④ 方法
・下ろす動作を2〜3秒
・「重力に逆らう」意識
「強く握り過ぎない」:
握力の影響:
① 握り過ぎると
・前腕に力が入る
・棘下筋・小円筋への意識が逃げる
② 適度な握り
・ダンベルを落とさない程度
・リラックス
「肩をすくめない」:
僧帽筋上部の代償防止:
① 肩がすくむと
・僧帽筋上部が活動
・棘下筋・小円筋への刺激不足
② 肩を下げる意識
・肩甲骨を下方に
・「肩を遠ざける」感覚
「痛みがあれば即中止」:
肩関節障害の方への注意:
① 炎症期には禁忌
② 整形外科医に相談
③ リハビリの定番種目
反復回数とセット数
このエクササイズは基本的に高重量を用いません。
軽い重量(20回以上反復可能な低負荷)で高回数行いましょう。
※セット数は3〜4セットくらいで行います。
「低負荷高回数」が原則:
エクスターナルローテーションの重量設定:
① ローテーターカフは小さな筋
・高負荷は禁物
・「軽くて効く」
② 推奨負荷
・1〜3kgのダンベル
・軽量チューブでも可
・「最後の2〜3回がきつい」程度
③ 「20回以上」の意味
・筋持久力を養う
・動的安定能力UP
④ 怪我予防
・高負荷は腱板損傷のリスク
・軽負荷でじっくり
エクスターナルローテーションと投球障害肩予防
エクスターナルローテーションの特別な効果:
「投球障害肩の現状」:
スポーツ医学の課題:
① 投球障害肩とは
・野球選手の3〜5割が経験
・「野球肩」とも呼ばれる
・反復ストレスが原因
② 主な疾患
・腱板損傷(棘下筋・小円筋)
・インピンジメント症候群
・SLAP損傷
・リトルリーガー肩
③ 機能的問題
・「ブレーキングマッスル」機能不全
・外旋筋の弱化
・内旋優位
「ピッチング動作と棘下筋・小円筋」:
投球動作で果たす役割:
① ワインドアップ〜コッキング期
・肩関節最大外旋
・棘下筋・小円筋の伸張
② アクセラレーション期
・肩関節内旋=ボール加速
・「ブレーキング」に備える
③ デセラレーション期(最重要)
・急激な減速
・棘下筋・小円筋の遠心性収縮
・関節を守る
④ フォロースルー期
・動作の終了
・関節保護
「外旋筋強化の3大効果」:
① 肩関節後方の安定
・関節包後部の保護
・「中心化」
② ブレーキングマッスル機能UP
・遠心性収縮能力UP
・投球障害肩予防
③ 内旋優位の改善
・巻き肩予防
・姿勢改善
「リトルリーガー肩」予防:
成長期野球選手の課題:
① リトルリーガー肩
・成長期の投球障害肩
・上腕骨近位骨端線損傷
② 予防
・適切な投球数管理
・エクスターナルローテーションでブレーキングマッスル強化
・適切なフォーム
「ローテーターカフ4筋」エクササイズ:
完全なローテーターカフ強化メニュー:
① 棘上筋
・エンプティカンエクササイズ
② 棘下筋・小円筋(本記事の主役)
・エクスターナルローテーション
・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション
③ 肩甲下筋
・インターナルローテーション
これら4方向の強化で「肩関節の動的安定」が完成。
「スポーツ選手への重要性」:
特に重要なスポーツ:
① 野球(投手・野手)
・投球障害肩予防
・パフォーマンスUP
② テニス
・サーブ・スマッシュ
・肩関節への反復ストレス
③ 水泳
・スイマーズショルダー
・クロール・バタフライ
④ ハンドボール・バレーボール
・投擲・スパイク動作
⑤ ウェイトトレーニング
・ベンチプレス・ショルダープレス前の肩関節安定
・怪我予防
「現代人の肩問題」:
現代生活での課題:
① 「巻き肩・猫背」
・内旋優位
・外旋筋の弱化
② 解決法
・エクスターナルローテーション
・外旋筋強化
・大胸筋ストレッチを併用
③ 推奨
・外旋筋優位に強化
・巻き肩予防
「リハビリの定番」:
医療現場での評価:
① 整形外科リハビリ
・術後リハビリ
・腱板損傷後
② リハビリの段階
・炎症期=禁忌
・回復期=低負荷から
・機能回復期=高回数
③ 整形外科医・理学療法士
・「最も重要なローテーターカフ種目」と評価
・本種目を中心に処方
「インターナルローテーションとの関係」:
両種目の使い分け:
① エクスターナルローテーション(本記事)
・棘下筋・小円筋強化
・外旋動作
② インターナルローテーション
・肩甲下筋強化
・内旋動作
③ 推奨される組み合わせ
・両方併用=ローテーターカフ全体強化
・「綱引きバランス」を保つ
④ 現代人への推奨
・外旋筋優位に強化
・本種目を多めに
関連する効果:
① ローテーターカフ強化
・肩関節安定UP
② 投球障害肩予防
・ブレーキングマッスル強化
・野球選手必須
③ ベンチプレス・ショルダープレスの安全性UP
・肩関節の動的安定
④ 巻き肩・猫背改善
・外旋筋優位に
・姿勢改善
⑤ リハビリ
・術後リハビリ
関連する障害の予防:
① 投球障害肩
・最重要の予防種目
② 腱板損傷
・棘下筋・小円筋強化
③ 四十肩・五十肩
・機能回復
④ インピンジメント症候群
・ローテーターカフ全体の機能改善
⑤ スイマーズショルダー
・水泳選手必須
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【バックプレス・シーテッド・ダンベルプレス・アーノルドプレス・フロントレイズ・ベントオーバーフロントレイズ・サイドレイズ・リアレイズ・クロスボディ・デルトレイズ・アップライトローイング・ショルダーシュラッグ・ベントオーバーショルダーシュラッグ・インターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・プローン・エクスターナルローテーション・プローン・オーバーヘッドエクスターナルローテーション・ショルダーサークル・リバース・サイドレイズ】
■ ボールエクササイズ■
■ チューブエクササイズ■
【エンプティカンエクササイズ・スタンディングチューブリアレイズ・スタンディングチューブ・インターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション】
■ ギムニクエクササイズ■
まとめ
エクスターナルローテーションについて解説してきた内容を整理します。
・棘下筋+小円筋+菱形筋群+僧帽筋+肩甲挙筋を鍛える
・「投球障害肩予防の代表種目」
・棘下筋・小円筋=ローテーターカフ4筋の外旋筋
・「ブレーキングマッスル」として最重要
・横向きでベンチ台に+運動側の腕が上
・肘90度固定+脇を締める
・肩から肘の軸を中心に弧を描く
・サムアラウンドグリップ
・ダンベルは強く握り過ぎない
・ネガティブ動作(戻す時)を重視=伸張性筋活動
・胸の動きに合わせて呼吸
・低負荷(20回以上反復可能・1〜3kg)+高回数
・3〜4セット
・痛みがある場合は中止
・インターナルローテーションと併用が理想(外旋優位推奨)
エクスターナルローテーションは棘下筋・小円筋強化+ローテーターカフ後方の安定+肩関節障害予防+投球障害肩予防+ブレーキングマッスル機能UP+スポーツパフォーマンス向上+巻き肩改善に直結する最重要種目です。「外旋筋(棘下筋・小円筋)」と「内旋筋(肩甲下筋)」のバランスがローテーターカフ強化の鍵で、現代人には「外旋筋優位」に強化することが推奨されます。肘90度固定+脇締め+一本の軸+ネガティブ動作重視+低負荷高回数でエクスターナルローテーションの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害・肩関節障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/





