ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション(horizontal arm external rotation)
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションとは主に小円筋(しょうえんきん)、棘下筋(きょくかきん)を鍛える筋トレ種目です。
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションは「投球姿勢でのチューブ版エクスターナルローテーション」と呼ばれる、肩関節の障害予防やリハビリのために用いられることが多いエクササイズで、この手の種目の中では最も重要なエクササイズといえます。
このページではホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、回数、セット、他のエクスターナルローテーション系との位置づけまで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・低負荷高回数の重量・回数
・他のエクスターナルローテーション系との違い
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
棘下筋+小円筋=ローテーターカフ後方の中心
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションの特徴:
① 主働筋:棘下筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・肩関節外旋の主役
② 主働筋:小円筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・棘下筋の補助
③ 協働筋:菱形筋群・僧帽筋・肩甲挙筋
・肩甲骨の安定
「チューブ+バランスボール」の利点:
なぜ両方使うか:
① チューブの利点
・全可動域で均一な負荷
・立位or座位で実施可
・自宅でも可
② バランスボールの利点
・上腕を乗せる支点
・肩90度の維持が楽
・長時間の保持が可能
③ 組み合わせの効果
・「投球姿勢」に近い角度
・機能的な強化
・野球選手に最適
「ホリゾンタルアーム」の意味:
エクササイズ名の由来:
① ホリゾンタル(Horizontal)
・「水平」
・上腕が水平な状態
② アーム(Arm)
・「腕」
③ 直訳すると
・「水平な腕でのエクスターナルローテーション」
・肩外転90度の状態
「ローテーターカフ4筋」:
肩関節の動的安定を司る筋群:
① 棘上筋=外転初動/上方の安定
② 棘下筋(本記事の主役)=外旋/後方の安定
③ 小円筋(本記事の主役)=外旋/後方の安定
④ 肩甲下筋=内旋/前方の安定
「ブレーキングマッスル」:
野球選手にとって最重要:
① ブレーキングマッスル(制動筋)
・動きを止める役割の筋
・遠心性収縮で活動
② 投球動作での役割
・デセラレーション期で最大活動
・関節を守る
③ 本種目での強化
・投球姿勢での機能改善
・怪我予防
関節の動き

運動方法


- ゴムチューブを柱などに結び付けます。
このときゴムチューブの高さはエクササイズを行う際に自分の耳の高さになるように固定します。 - ゴムチューブの端を握り、肩関節、肘関節が90度になるようにバランスボールの上に上腕を乗せます。(写真1)
- 肘の角度を保ちながらゴムチューブを後方へ引っ張ります。(肩関節を外旋させます)
このとき肩から肘にかけては一本の軸が通っていることをイメージしながら行います。(写真2) - ゴムチューブの弾力性に逆らいながらゆっくりともとの位置まで戻します。
「肩90度+肘90度+耳の高さチューブ」のセッティング
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションの基本:
① チューブの固定位置
・耳の高さ=重要
・柱やマシンに結ぶ
② 上腕
・バランスボールに乗せる
・水平(床と平行)
・肩関節90度(外転90度)
③ 肘関節90度
・前腕が床に垂直
・動作中も維持
④ この姿勢の意味
・「投球姿勢」に近い
・機能的な強化
「後方への引っ張り」動作:
正しい動作:
① 開始位置(写真1)
・前腕が前方
・内旋した状態
② フィニッシュ位置(写真2)
・前腕が後方
・外旋した状態
③ 軸の意識
・肩から肘の軸
・その軸を中心に前腕が回旋
④ 失敗例
・肘の角度変化=広背筋に逃げる
・上腕が動く=動作軸が崩れる
呼吸方法
- 呼吸は肩関節が外旋するときに息を吸い、内旋するときに息を吐くようにします。
ポイントと注意点※順不同
- ゴムチューブを元の位置に戻す際はできるだけ抵抗に逆らいながらゆっくりと戻します。
こうすることにより、野球のピッチング動作でのブレーキングマッスルである棘下筋、小円筋を伸張性筋活動させることができます。
「ネガティブ動作」を重視
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション特有のテクニック:
① 戻す動作を2〜3秒
・チューブの抵抗に逆らう
・「ブレーキングマッスル」機能改善
② 効果
・遠心性収縮能力UP
・投球障害肩予防
③ 重要性
・投球動作のデセラレーション期と同じ収縮
・機能的な強化
「肩がすくまない」:
僧帽筋上部の代償防止:
① バランスボール使用の利点
・上腕の固定がしやすい
・「肩のすくみ」防止に有効
② 肩を下げる意識
・肩甲骨を下方に
「痛みがあれば即中止」:
肩関節障害の方への注意:
① 炎症期には禁忌
② 整形外科医に相談
③ 段階的に進める
反復回数とセット数
このエクササイズは基本的に高負荷を用いません。
低負荷(20回以上反復可能な低負荷)で高回数行いましょう。
※セット数は3〜4セットくらいで行います。
「低負荷高回数」が原則:
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションの負荷設定:
① ローテーターカフは小さな筋
・高負荷は禁物
・「軽くて効く」
② 推奨負荷
・軽量〜中強度チューブ
・「最後の2〜3回がきつい」程度
③ 立つ位置で調整
・固定点から遠く=負荷大
・固定点から近く=負荷小
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションと他のローテーターカフ種目
このエクササイズの位置づけ:
「4つのエクスターナルローテーション系」:
それぞれの特徴:
① エクスターナルローテーション(通常)
・横向きベンチ+ダンベル
・肩外転0度
・初心者・リハビリ初期
② スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション
・立位+チューブ
・肩外転0度
・自宅・出張先でも可
③ プローン・エクスターナルローテーション
・うつ伏せ+ダンベル
・肩外転90度
・野球選手に最適
④ ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション(本記事)
・立位+チューブ+バランスボール
・肩外転90度
・機能的+自宅でも可
「使い分け」:
① 初心者・リハビリ初期
・通常版・スタンディングチューブ版から
・肩外転0度
② 中・上級者・スポーツ選手
・プローン版・ホリゾンタル版
・肩外転90度
③ 環境別
・ジム=ダンベル版
・自宅・グラウンド=チューブ版
・本種目=バランスボールがあれば可
「投球姿勢」との関係:
なぜ野球選手に最適か:
① 投球動作の特徴
・肩外転90度+外旋
・「コッキング期」の姿勢
② 本種目の意義
・投球姿勢と同じ
・「動作特異性」
③ 結果
・投球時の安定性UP
・パフォーマンスUP
・怪我予防
「ローテーターカフ4筋」エクササイズ:
完全なローテーターカフ強化メニュー:
① 棘上筋
・エンプティカンエクササイズ
② 棘下筋・小円筋(本記事の主役)
・エクスターナルローテーション
・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション
・プローン・エクスターナルローテーション
・プローン・オーバーヘッドエクスターナルローテーション
・ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション(本記事)
③ 肩甲下筋
・インターナルローテーション
これら4方向の強化で「肩関節の動的安定」が完成。
「現代人の肩問題」:
現代生活での課題:
① 「巻き肩・猫背」
・内旋優位
・外旋筋の弱化
② 解決法
・本種目で外旋筋強化
・大胸筋ストレッチを併用
③ 推奨
・外旋筋優位に強化
・巻き肩予防
関連する効果:
① ローテーターカフ強化
・肩関節安定UP
② 投球障害肩予防
・ブレーキングマッスル強化
③ ベンチプレス・ショルダープレスの安全性UP
・肩関節の動的安定
④ 巻き肩・猫背改善
・外旋筋優位に
⑤ 自宅でも手軽
・場所を選ばない
関連する障害の予防:
① 投球障害肩
② 腱板損傷
③ 四十肩・五十肩
④ インピンジメント症候群
⑤ スイマーズショルダー
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【シーテッド・ダンベルプレス・アーノルドプレス・フロントレイズ・ベントオーバーフロントレイズ・サイドレイズ・リアレイズ・クロスボディ・デルトレイズ・アップライトローイング・ショルダーシュラッグ・ベントオーバーショルダーシュラッグ・インターナルローテーション・エクスターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・プローン・エクスターナルローテーション・プローン・オーバーヘッドエクスターナルローテーション・ショルダーサークル・リバース・サイドレイズ】
■ ボールエクササイズ■
■ チューブエクササイズ■
【エンプティカンエクササイズ・スタンディングチューブリアレイズ・スタンディングチューブ・インターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション】
■ ギムニクエクササイズ■
まとめ
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションについて解説してきた内容を整理します。
・棘下筋+小円筋+菱形筋群+僧帽筋+肩甲挙筋を鍛える
・「投球姿勢でのチューブ版エクスターナルローテーション」
・棘下筋・小円筋=ローテーターカフ4筋の外旋筋
・「ブレーキングマッスル」として最重要
・ゴムチューブを耳の高さに固定
・立位+バランスボールに上腕を乗せる
・肩90度+肘90度
・後方へチューブを引く=外旋
・肩から肘の軸を中心に弧を描く
・ネガティブ動作(戻す時)を重視=伸張性筋活動
・外旋時に息を吸い、内旋時に息を吐く
・低負荷(20回以上反復可能)+高回数
・3〜4セット
・痛みがある場合は中止
ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションは棘下筋・小円筋の機能的強化+投球姿勢に近い角度+ブレーキングマッスル機能UP+投球障害肩予防+自宅でも手軽に行える応用種目です。4つのエクスターナルローテーション系種目を組み合わせることで、多角的なローテーターカフ強化が可能です。耳の高さチューブ+肩90度+肘90度+ネガティブ動作重視+低負荷高回数でホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーションの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害・肩関節障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/





