リバース・サイドレイズ(reverse side raise)
リバース・サイドレイズとは主に三角筋(さんかくきん)、棘上筋(きょくじょうきん)、僧帽筋(そうぼうきん)を鍛える筋トレ種目です。
通常のサイドレイズの動作に加え、肩関節の外旋動作を行うことで、より多くの肩関節周辺の筋群が使用されます。
リバース・サイドレイズは「サイドレイズ+外旋のハイブリッド種目」と呼ばれる、肩関節のコーディネーション能力を高める応用種目です。
このページではリバース・サイドレイズの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、目的別(筋力アップ・筋肥大・ダイエット)に応じた重量、回数、セット、通常のサイドレイズとの違いまで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・リバース・サイドレイズで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・呼吸法と低負荷高回数の重量・回数
・インピンジメント症候群への注意
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
三角筋+棘上筋+僧帽筋+外旋筋を同時刺激
リバース・サイドレイズの特徴:
① 主働筋:三角筋(前部・中部)
・肩関節外転+屈曲
・「肩幅」を作る
② 協働筋:棘上筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・外転初動(0〜30度)で活動
③ 協働筋:僧帽筋
・肩甲骨上方回旋+挙上
・頭上動作の安定
④ 外旋筋(棘下筋・小円筋)
・頭上での外旋動作
・「リバース」要素
「コーディネーション運動」:
リバース・サイドレイズの特徴:
① コーディネーション(協調運動)とは
・複数の動作を同時に
・神経筋の協調
② 本種目での動作
・外転+外旋
・水平→頭上
・動作の切り替え
③ 効果
・神経筋制御UP
・機能性UP
・スポーツパフォーマンスUP
「外転+外旋」の意味:
通常のサイドレイズとの違い:
① 通常のサイドレイズ
・外転のみ
・肩の高さまで
・三角筋中部メイン
② リバース・サイドレイズ(本記事)
・外転+外旋
・水平位→頭上
・三角筋+外旋筋+僧帽筋
③ 「リバース」の意味
・水平で手のひらが下→頭上で向かい合う
・外旋動作が加わる
・「反転」=サイドレイズ+外旋
④ 機能性
・頭上動作に近い
・「機能的サイドレイズ」
関節の動き

肩関節においては外転、外旋動作が行われます。
肩甲帯においては外転、上方回旋、挙上など様々な動きが要求されます。
運動の方法


- ダンベルのグリップに親指をしっかり巻きつけてダンベルを握ります。
- 立位になり、足幅を肩幅くらいにひらきます。
- 手のひらが大腿側を向くように両手でダンベルを構えます。
この際、両膝は軽く曲げておきます。(写真1) - 両肩をダランと落とし、そこから両腕を徐々に外転させます。
ダンベルを水平位くらいまで持ち上げたら、そこからゆっくりと肩関節の外旋動作を加えていきながらダンベルを頭上に持ち上げます。(写真2) - 十分に両腕を持ち上げたら重力に逆らいながらゆっくりとダンベルを元の位置まで下ろします。
「水平位→頭上」の2段階動作
リバース・サイドレイズの独特な軌道:
① 第1段階:外転(0度→90度)
・サイドレイズの動き
・手のひらは下向き
・三角筋中部メイン
② 第2段階:外旋+外転(90度→180度)
・手のひらを返しながら
・頭上に持ち上げる
・外旋筋+三角筋+僧帽筋
③ ゴール
・頭上で手のひらが向かい合う
・「バンザイ」姿勢
④ 戻し動作
・同じ軌道を逆
・ネガティブ動作を重視
「手のひらの向き」の変化:
リバース・サイドレイズの特徴:
① 開始位置
・手のひらが大腿側
② 水平位
・手のひらが下向き
・サイドレイズ姿勢
③ 頭上
・手のひらが向かい合う
・外旋した状態
④ 「リバース」
・手のひらが反転
・動作の途中で切り替え
呼吸方法
-
胸の動きに合わせて呼吸を行います。
すなわち両腕を持ち上げるときに息を吸い、両腕を下ろすときに息を吐き出します。
ポイントと注意点※順不同
- グリップの握り方は親指をしっかり巻きつけて行う『サムアラウンドグリップ』を用いるようにします。
このときダンベルはあまり強く握り過ぎないように気をつけます。 - ダンベルを頭上に持ち上げたときには手のひらがお互いに向かい合うようにします。
- インピンジメント症候群(ようするに腕を持ち上げるだけで肩が痛む方)に陥ってしまっている方は、この種目の実施をひかえてください。症状が更に悪化してしまう可能性があります。
- このエクササイズは肩関節のコーディネーション種目なので、チーティング(はずみ、反動)を用いる必要はありません。
「インピンジメント症候群」への注意
リバース・サイドレイズ最大の注意点:
① インピンジメント症候群とは
・肩峰下インピンジメント
・肩峰と上腕骨の間で腱板(特に棘上筋)が挟まれる
・肩の挙上時の痛み
② 本種目のリスク
・水平位→頭上=最もインピンジメントを起こしやすい範囲
・外転90〜120度で痛みやすい
③ 禁忌の方
・インピンジメント症候群の方
・四十肩・五十肩の方
・腱板損傷経験者
・巻き肩・猫背で肩柔軟性低下の方
④ 安全な対策
・痛みがあれば即中止
・軽い重量から
・ローテーターカフ強化を併用
「コーディネーション種目」の意味:
なぜチーティング禁止か:
① 動作の正確性が重要
・2段階動作を正確に
・「外転→外旋」の切り替え
② 反動を使うと
・動作が雑に
・コーディネーションの意味なし
・怪我のリスク
③ 軽重量+ゆっくり
・「制御」を重視
・神経筋の協調
「強く握り過ぎない」:
握力の影響:
① 握り過ぎると
・前腕に力が入る
・肩への意識が逃げる
② 適度な握り
・ダンベルを落とさない程度
・リラックス
反復回数とセット数
このエクササイズは基本的に高負荷を用いません。
低負荷(20回以上反復可能な低負荷)で高回数行いましょう。
セット数は3〜4セットくらいで行います。
「低負荷高回数」が原則:
リバース・サイドレイズの重量設定:
① コーディネーション種目
・高負荷は禁物
・「正確性」優先
② 推奨負荷
・1〜3kgのダンベル
・「最後の5回がきつい」程度
③ 「20回以上」の意味
・筋持久力+協調性
・機能改善
④ 怪我予防
・頭上動作のリスク
・軽負荷でじっくり
リバース・サイドレイズと通常のサイドレイズの使い分け
両種目の特性を整理:
「通常のサイドレイズ」:
① 利点
・シンプル
・初心者向き
・三角筋中部に集中
② 欠点
・水平位までしか上げない
・頭上動作の機能性に直結しない
「リバース・サイドレイズ(本記事)」:
① 利点
・頭上動作の機能性UP
・三角筋+外旋筋+僧帽筋を同時
・コーディネーションUP
② 欠点
・動作が複雑
・インピンジメントリスク
・中・上級者向き
「推奨される順序」:
段階的な進め方:
① 第1段階:サイドレイズ(基本)
・初心者・基礎習得
② 第2段階:リバース・サイドレイズ(本記事)
・中・上級者・機能性UP
③ 推奨
・正しいフォームを習得してから
・肩関節の柔軟性を確保してから
「肩トレメニュー」での位置づけ:
理想的な順序:
① ウォームアップ=ショルダーサークル
② シーテッド・ダンベルプレス(プレス系・高重量)
③ サイドレイズ(三角筋中部)
④ リバース・サイドレイズ(コーディネーション・本記事)
⑤ リアレイズ(三角筋後部)
⑥ ローテーターカフ=エクスターナルローテーション
「頭上動作の機能性UP」:
日常・スポーツへの応用:
① 日常動作
・高い場所のものを取る
・頭上で物を持つ
② スポーツ動作
・テニス・バレーのサーブ・スパイク
・水泳のストローク
・野球の投球
③ 本種目での強化
・「機能的」な肩トレ
・怪我予防+パフォーマンスUP
「現代人の肩問題」:
注意が必要なケース:
① 「巻き肩・猫背」
・頭上動作が困難
・インピンジメントリスク大
② 解決法
・まず姿勢改善
・大胸筋・小胸筋ストレッチ
・ローテーターカフ強化
・本種目はその後
③ 「肩こり・首こり」
・本種目で機能改善
・頭上動作の改善
関連する効果:
① 三角筋+棘上筋+僧帽筋+外旋筋を同時刺激
・多角的な強化
② 肩関節のコーディネーション
・神経筋制御UP
③ 頭上動作の機能性UP
・日常・スポーツに直結
④ ボディメイク
・立体的な肩
関連する障害の予防+注意:
① インピンジメント症候群
・最大のリスク
・該当者は禁忌
② 巻き肩・猫背
・状態によっては避ける
③ 肩関節障害
・痛みがあれば即中止
④ 腱板損傷
・経験者は避ける
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【ダンベル・プルオーバー・バック・プレス・シーテッド・ダンベルプレス・アーノルドプレス・フロントレイズ・ベントオーバーフロントレイズ・サイドレイズ・エンプティカンエクササイズ・リアレイズ・クロスボディ・デルトレイズ・スタンディングチューブリアレイズ・アップライトローイング・ショルダーシュラッグ・ベントオーバーショルダーシュラッグ・インターナルローテーション・スタンディングチューブ・インターナルローテーション・エクスターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・プローン・エクスターナルローテーション・プローン・オーバーヘッドエクスターナルローテーション・ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション・ショルダーサークル】
■ ボールエクササイズ■
【ローテーターカフ・アクティブエクササイズ】
■ スタティックストレッチ■
【ローテーターカフ・ダイナミックストレッチ・肩部のスタティックストレッチ・肩部・頚部のスタティックストレッチ・肩部・頚部のスタティックストレッチ・肩部・背部のスタティックストレッチ・肩部・頚部のスタティックストレッチ・肩部・頚部のスタティックストレッチ】
■ パートナーストレッチ■
【肩甲挙筋のパートナーストレッチ・胸鎖乳突筋のパートナーストレッチ・僧帽筋(上部)のパートナーストレッチ・上部僧帽筋(前部)のパートナーストレッチ・上部僧帽筋(後部)のパートナーストレッチ・上部僧帽筋(後部)のパートナーストレッチ・小円筋のパートナーストレッチ・棘下筋のパートナーストレッチ・肩甲下筋のパートナーストレッチ・三角筋(前部)のパートナーストレッチ】
まとめ
リバース・サイドレイズについて解説してきた内容を整理します。
・三角筋+棘上筋+僧帽筋+外旋筋を鍛える
・「サイドレイズ+外旋のハイブリッド種目」
・「肩関節のコーディネーション種目」
・外転+外旋の複合動作
・立位+足幅は肩幅+両膝軽く曲げる
・手のひらが大腿側=開始位置
・水平位でサイドレイズの形
・頭上で手のひらが向かい合う(外旋)
・2段階動作:外転→外旋+外転
・サムアラウンドグリップ
・ダンベルは強く握り過ぎない
・チーティング禁止(コーディネーション種目)
・両腕を持ち上げるときに息を吸い、下ろすときに息を吐く
・低負荷(20回以上反復可能・1〜3kg)+高回数
・3〜4セット
・インピンジメント症候群の方は禁忌
リバース・サイドレイズは三角筋+棘上筋+僧帽筋+外旋筋の同時刺激+肩関節のコーディネーションUP+頭上動作の機能性UP+スポーツパフォーマンスUPに直結する応用種目です。通常のサイドレイズ(基礎)→リバース・サイドレイズ(応用)と段階的に進めることで、安全に機能的な肩関節強化が可能です。ただしインピンジメント症候群・巻き肩・肩関節障害の方は禁忌です。2段階動作の正確性+軽重量+ゆっくり+痛みのない範囲でリバース・サイドレイズの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害・肩関節障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患・インピンジメント症候群」https://katakansetsu.jp/





