タンパク質は窒素を構造に持つ栄養素で、筋肉や血液、酵素、髪の毛、肌、爪、骨、ホルモン、免疫体、遺伝子など、様々な構成成分として働いている栄養素です。
タンパク質は人間の生命を支えている最も重要な物質の一つで、水分を除いた成分(乾燥成分)の30〜40%はタンパク質からできていると言われています。
タンパク質は英語で『プロテイン』といいますが、その語源はギリシャ語の『プロテイオス』からきています。プロテイオスは『最も重要なもの』という意味を持っており、その語源から考えても、太古の昔からタンパク質の重要性は理解されていたようです。
タンパク質はアミノ酸が多数集まって出来ていて、最小単位のアミノ酸が多数(一般に100個以上)集まったものを『タンパク質』といいます。最小単位のアミノ酸は約20種類ほどあり、その中には体内で合成することができない『必須アミノ酸』(9種類)と、体内で合成できる『非必須アミノ酸』と呼ばれるものがあります。
必須アミノ酸をバランスよく摂るには動物性タンパク質が効率的なので、植物性食品に偏らず、動物性タンパク質も適度に摂取するように心掛けると良いでしょう。
因みに、アミノ酸が2個以上集まったものを『ペプチド』といい、構成された数により、ジペプチド(アミノ酸が2個)、トリペプチド(アミノ酸が3個)、テトラペプチド(アミノ酸が4個)、オリゴペプチド(アミノ酸が少数個)、ポリペプチド(アミノ酸が多数)などと呼び名が異なります。
タンパク質は筋肉だけでなく全身をつくる材料
タンパク質というと「筋肉のための栄養素」というイメージが強いですが、実際には肌・髪・爪・骨・血液に加え、体の機能を調節するホルモンや酵素、病気から体を守る免疫の抗体まで、全身のあらゆる組織の材料になっています。これらの組織は常に古いものから新しいものへと入れ替わっているため、タンパク質は毎日継続して摂る必要があります。また、糖質や脂質が不足したときにはエネルギー源(1gあたり約4kcal)としても使われます。つまりタンパク質は、体をつくる材料であると同時に、生命活動を支える多機能な栄養素なのです。
1日に必要なタンパク質の摂取量
タンパク質は、普通の生活を過ごしている人では体重1kgあたり約1.08g摂取すると良いとされています。例えば体重70kgの人であれば、約75.6gのタンパク質を摂取すれば良いということになります。
しかし、今よりももっと筋肉量を増やしたい方や、ハードにトレーニングをしている方は、運動量に応じて体重1kgあたり1.2〜2g程度を目安に多めに摂るのが望ましいとされています。つまり、体重70kgで高強度のトレーニングをする方なら、1日におよそ140g程度を目安に摂ることもあるということになります。
いきなり140gと言われてもあまりピンとこない方は多いのではないでしょうか?大ざっぱに説明すると、牛肉などの肉類はおおむね100g中に約20gのタンパク質が含まれているので、1日140gのタンパク質を摂取するには、単純計算で約700gの牛肉を食べる必要があるということになります。
しかし、忘れてならないのは、タンパク質を摂取する際に同時に脂質も摂取してしまうということです。例えば、豚のバラ肉の場合は100gの肉を食べたとしても、タンパク質の摂取割合より脂質の摂取割合の方が多いため、タンパク質を摂取したと同時に相当量の脂肪を摂取したことになります。
それに比べると、鶏のささみは脂質が極めて少ない食材として知られています。20gのタンパク質を摂取するためには約80gのささみを食べなければなりませんが、それに伴う脂質の摂取量は1gにも満たしていません。ボディビルダーが好んで鶏のささみを摂るのは、このためです。
その他、牛肉(ヒレ、サーロイン、赤身)、豚肉(ヒレ)、魚(赤身)、卵(白身)などもタンパク質の摂取効率が高い食材として知られています。なお、効率よく筋肉の合成に活かすには、一度にまとめて摂るより、朝・昼・晩や運動後などに20〜30gずつ分けて摂るのがよいと言われています。
タンパク質の摂取量が不足した場合と過剰摂取した場合
今更言うまでもないと思いますが、筋肉をつけたいなら、タンパク質の摂取を心掛けなければいけません。それでは逆に、タンパク質の摂取量が不足した場合にはどのようなことが起こるのでしょうか?
筋肉量の減少
タンパク質は筋肉を形成する上ではとても重要な栄養素ですが、タンパク質の働きは何もそれだけではありません。ホルモン、免疫体、遺伝子など様々な構成成分としても働いているため、それらを維持するために、筋肉を分解してでもタンパク質を供給しようとします。
これをカタボリック(catabolic)といい、日本語では異化(分解)と訳されています。体内でカタボリックが起きてしまうと、単純に筋肉量が減少してしまいます。このため、例えダイエット中といえど、十分なタンパク質を摂取することを心掛けなければならないのです。
肌や髪のトラブル
タンパク質の摂取量が少なくなると、肌や髪などのトラブルを引き起こす可能性があります。体内のタンパク質が不足するとコラーゲン(コラーゲンもタンパク質から構成されている)が減少します。コラーゲンが減少すると、肌のシワやたるみ、髪の傷みの原因につながってしまいます。
スポーツ(運動)性貧血
一般に、運動量が多い人は赤血球の破壊される数が多いと言われています。いわゆるスポーツ(運動)性貧血と呼ばれるもので、これは運動によって破壊された赤血球に対して、再生される赤血球が足りない状態をいいます。もちろん、鉄分が不足することでも起こりますが、赤血球の材料にもなるタンパク質が不足しても、スポーツ性貧血の原因になります。
それでは、タンパク質を過剰摂取した場合はどうなるのでしょうか?
タンパク質は過剰に摂取した場合、そのままタンパク質として体内に貯蔵されることはなく、余った分は中性脂肪に置き換えられ、皮下脂肪として蓄えられてしまうことがあります。つまり、タンパク質の過剰摂取は、カロリー過多を通じて肥満の原因に繋がる可能性があるのです。
また、冒頭で話した通り、タンパク質の中には窒素元素が含まれているので、エネルギーとして利用される過程で窒素が体内に余ってしまいます。通常なら余った窒素は肝臓で処理され尿中に排泄されるのですが、過剰摂取が続くと肝臓や腎臓に負担がかかることがあります。さらに、特に動物性タンパク質の過剰摂取は、血液中の尿酸値を上げ、高尿酸血症や『痛風』、尿路結石などのリスクを高めることが知られています。
タンパク質についてのまとめ
タンパク質は筋肉だけでなく、肌・髪・ホルモン・免疫など全身をつくる重要な栄養素です。不足すると筋肉が分解(カタボリック)され、肌や髪のトラブル、貧血の原因にもなるため、ダイエット中でも十分に摂ることが大切です。目安は一般の人で体重1kgあたり約1g、筋肉を増やしたい人は運動量に応じて1.2〜2g程度。鶏ささみなど高タンパク低脂質の食材を選び、1日数回に分けて摂るのが効率的です。ただし、過剰摂取は肥満や痛風などのリスクにつながるので、摂り過ぎにも注意しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」https://www.mhlw.go.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/






