ウエイトトレーニングを安全で効果的に行うには、グリップ(握り方)を状況や目的に応じて使い分けなければなりません。
同じ種目でも握り方を変えるだけで、刺激が入る筋肉や持ちやすさ、安全性が変わります。グリップは大きく分けて「握る手の向き(角度)」によるものと、「親指の位置」によるものがあります。ここでは代表的な握り方を、鍛えられる筋肉や使う種目とあわせて解説します。
オーバーグリップ
手の甲が上になる握り方で、バー(シャフト)を握る最も基本的な握り方です。日本語では『順手』と呼ばれています。
ベンチプレスやショルダープレス、ベントオーバーロー、アップライトロウなど、幅広い種目で使われる標準的な握り方です。背中の種目では、順手で握ると上腕二頭筋の関与が抑えられ、広背筋や僧帽筋など背部の筋肉に効かせやすくなります。
アンダーグリップ
手の平が上になる握り方で、上腕二頭筋、広背筋を鍛えるときに良く用いる握り方です。日本語では『逆手』と呼ばれています。
バーベルカールやリバースグリップのラットプルダウン、チンアップ(逆手懸垂)などで使われます。逆手にすると上腕二頭筋が動員されやすくなるため、腕や背中の引く力を活かしたい種目に向いています。
オルタネイト(リバース)グリップ
片方がオーバーグリップ、もう片方がアンダーグリップで握る方法です。この握り方だと双方のグリップの回転力が相殺されるので、デッドリフトやシュラッグといった高重量を扱う種目には最適な握り方だといえます。
左右で握る向きが逆になるため、バーが手から滑り抜けにくく、強いグリップ力を保てます。「ミックスグリップ」とも呼ばれ、握力が先に限界を迎えやすい高重量のプル系種目で力を発揮します。
パラレルグリップ
両方の手の平がお互いに向き合う(パラレル)握り方です。腕橈骨筋を鍛えるハンマーカールや背部を鍛えるロープーリーなどの種目で用いる握り方です。
「ニュートラルグリップ」「ハンマーグリップ」とも呼ばれます。手首や肩への負担が比較的少なく自然な角度で握れるため、腕橈骨筋(前腕)やダンベル・Vバーを使った背中の種目で活用されます。
親指の位置で変わる握り方(サムアラウンド・サムレス)
上記の握り方は手の向きによる分類ですが、親指の位置でもグリップが変わります。
① サムアラウンドグリップ
・親指を他の指と向き合わせ、シャフトを包み込むように握る最も標準的な方法
・グリップが安定し、ウエイトを落としにくいのが利点
② サムレスグリップ
・親指を他の4本の指と同じ側に添える握り方
・プル系種目では握力の低下を防ぎやすく、プレス系ではシャフトと手首の距離が近くなり手首の負担を抑えやすい
・ただし滑りやすく技術も必要なため、初心者にはあまり向きません
グリップで効く筋肉が変わる理由
握り方を変えると、関節の向きや力の入り方が変わり、動員される筋肉が変化します。たとえば順手では背部に、逆手では上腕二頭筋に効きやすくなり、パラレルでは前腕(腕橈骨筋)が使われます。目的の筋肉や扱う重量、安全性に合わせてグリップを選ぶことが、効果的で怪我の少ないトレーニングにつながります。
まとめ
グリップの握り方は、手の向きによるオーバー(順手)・アンダー(逆手)・オルタネイト・パラレルの4種類に加え、親指の位置によるサムアラウンド・サムレスがあります。順手は背部、逆手は上腕二頭筋、パラレルは前腕に効きやすく、オルタネイトは高重量のデッドリフトなどに最適です。鍛えたい筋肉・種目・扱う重量に応じて握り方を使い分けることで、より安全で効果的なトレーニングが行えます。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/








