前回ご紹介した『RM法』、『10RM法』は、数あるトレーニングメソッドの中でも基本中の基本のメソッド(方法)になります。
もちろん、そのメソッドをただひたすらやり続けてもウエイトトレーニングの効果は得られると思います。しかし、そのまま行い続けたとしても、やがてそう遠くない将来、必ず頭打ちが訪れます。これが俗にいう『プラトー(停滞期)』と呼ばれる状態です。
なぜプラトーに陥ってしまうかというと、筋肉は刺激に対し非常に順応性がある組織なので、通り一辺倒のやり方ではすぐ刺激に慣れてしまうのです。
そのためプラトー状態(停滞期)に陥ってしまったら、トレーニング方法などに変化をつけなければなりません。今回は数あるトレーニングメソッドの中の一つの【ピラミッド法】をご紹介したいと思います。このメソッドもRM法と並び基本メソッドになります。
ピラミッド法って何?
10RM法とは、あるエクササイズを10回なんとか反復可能な重量を用いて数セット行うというものです。ウォーミングアップ、クーリングダウンを除き、10回できる重量を数セット行うことから『重量平行法』と呼ばれることもあります。
ピラミッド法と10RM法の最大の相違点は、重量ごとに運動強度・量に変化をあたえるところにあります。つまり、ピラミッド法は始めは軽い重量でトレーニングを行い、その後、徐々に使用する重量を上げていき、マックス(いわゆる1RM)に達したら、また重量を徐々に下げていきます。その形があたかもピラミッドの形を描いているように見えることから、ピラミッド法と呼ばれています。
ピラミッド法は、特に大筋群の筋力アップと筋肥大にとても効果的な方法です。ピラミッド法は大きく三つに分類することができます。
- アセンディングピラミッド
- ディセンディングピラミッド
- フルピラミッド
に分けることができます。
1. アセンディングピラミッドはセットごとに負荷を上げていく方法で、最終的には1RMを用います。
2. ディセンディングピラミッドはアセンディングとは全く異なり、セットごとに負荷を軽くしていく方法です。1セット目で最大負荷(1RM)をかけるため(実際には軽い負荷を用いてアップをします)、傷めるリスクは高いのですが、筋力向上のために用いられることが多いセット法です。
3. フルピラミッドはセットごとに負荷を上げていき、1RMに近づいたら、再度負荷を下げていくという方法です。フルピラミッドは言わば、アセンディング法とディセンディング法の複合型システムと思っていただければ良いと思います。フルピラミッドは筋肥大と筋力アップの効果が期待できます。一般にピラミッド法というと、このフルピラミッドを指している場合が多いようです。
3種類の使い分けと「重量と回数」の関係
3つのピラミッドは、目的によって向き不向きがあります。
① アセンディング(上り)
・軽い重量から始めるためウォームアップを兼ね、怪我を予防しやすい。徐々に高重量へ移るので筋力と筋持久力をバランスよく養える
② ディセンディング(下り)
・各セットを追い込みやすく、オールアウト・パンプアップで筋肥大に効果的。ただし1セット目から高重量なので、入念なアップが必須
③ フルピラミッド
・上りと下りを組み合わせ、筋力アップと筋肥大の両方を狙える。その分セット数が多くなるので量の調整が必要
ポイントは「重量と回数」の関係です。一般に、高重量・低回数は筋力アップに、中重量・中〜高回数は筋肥大に向きます。ピラミッド法はこの両方を1つの種目の中で行えるため、効率よく筋肉を刺激できるのです。
ピラミッド法の具体例
以下に具体的なピラミッド法(フルピラミッド)を記載します。
※1RM(100%)を基準にして記載しています。(実施に際しては、事前に1RMを測定する(直接法)か、間接法で割り出しておく必要があります)
1セット目:1RMの50%程度の重量を用いて10回反復する。
2セット目:1RMの70%程度の重量を用いて7回反復する。
3セット目:1RMの90%程度の重量を用いて3回反復する。
4セット目:1RM(100%)の重量を用いて1回反復する。
5セット目:1RMの80%程度の重量を用いて10回反復する。
6セット目:1RMの70%程度の重量を用いて12回反復する。
7セット目:1RMの60%程度の重量を用いて12回反復する。
上記の例では、3〜4セット目では筋力アップ、5〜7セット目では筋肥大を狙っています。
これはピラミッド法のほんの一例にしか過ぎません。また、アセンディング、ディセンディング、フルピラミッドのうち、どのピラミッド法を選択し実施するかは、ご自身のトレーニングの目的などによって決定する必要があります。
まとめ
ピラミッド法は、重量を段階的に上げ下げして運動強度に変化をつけ、筋肉の慣れ(プラトー)を防ぐトレーニングメソッドです。軽い重量から上げていくアセンディング、高重量から下げていくディセンディング、両者を組み合わせるフルピラミッドの3種類があり、高重量・低回数で筋力、中重量・中〜高回数で筋肥大を狙えます。目的に合わせて使い分け、特に大筋群の筋力アップと筋肥大に活用しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/




