筋出力(きんしゅつりょく)とは|筋肉が発揮する力を高める3大要素(運動単位・発火頻度・筋サイズ)を徹底解説

筋出力(きんしゅつりょく)

英語名称

muscle strength/muscle force output(マッスル・ストレングス/マッスル・フォース・アウトプット)

解説

筋出力とは、筋や筋群が発生する張力(つまり、筋肉が発揮する力=筋力)のことです。この筋出力を高めるには、筋出力を決める3大要素を理解しなければいけません。

  • 運動単位の動員
  • インパルスの発火頻度の増大
  • 筋肉のサイズ(横断面積)

このうち、前の2つ(運動単位の動員・発火頻度)は神経系の要因、最後の1つ(筋肉のサイズ)は筋肉そのものの要因です。同じくらいの筋肉量に見えても、神経系の使い方によって発揮できる力が変わるのは、このためです。

運動単位の動員数

筋肉は、筋線維と呼ばれる細くて長い細胞が集まってできています。脳や脊髄からの命令(神経の興奮)が一定の閾値を超えることで、筋肉は収縮します。

ここで「運動単位」とは、1本の運動神経(α運動ニューロン)と、それに支配される筋線維のまとまりのことを指します。また、1本の運動神経が何本の筋線維を支配しているのかを「神経支配比」と言います。筋力を発揮する際には、必要な力に応じて運動単位が動員されますが、動員される運動単位が多ければ多いほど、筋出力は高くなります。

なお、運動単位は基本的に「サイズの原理」に従って動員されます。これは、弱い力を出すときは小さな(疲れにくい遅筋系の)運動単位から使われ始め、強い力が必要になるにつれて、より大きな(強い力を出す速筋系の)運動単位が順に動員されていく、という仕組みです。つまり、大きな力を出すには、より多くの・より大きな運動単位を動員する必要があるのです。

インパルスの発火頻度の増大

脳から神経へ、神経から筋線維へと送られる「筋肉を動かせ」という命令(電気信号)を、神経インパルスと呼びます。そして、単位時間あたりにこの命令が送られる回数を「発火頻度」と呼びます。

発火頻度が高くなると、筋肉の収縮が次々と加算(加重)されて大きな張力(強縮)が生まれるため、発火頻度が増えることで筋出力は大きくなります。この発火頻度による調節は「レートコーディング」とも呼ばれます。発火頻度を高めるには大脳が強く興奮するような刺激が必要なため、筋出力を高めるには、高強度でのウエイト・トレーニングを行うことが必要になってきます。

筋肉のサイズ(横断面積の増大)

筋の横断面積とは、いわゆる筋肉の太さ(サイズ)のことです。原則的に、筋力は筋の横断面積に比例するといわれているため、筋力発揮の土台となる筋肉のサイズが大きければ大きいほど、筋出力は高くなります。筋トレによる筋肥大(筋線維が太くなること)が筋力アップにつながるのは、この要素によるものです。

「神経系」と「筋肉のサイズ」、伸びる順番が違う

筋出力を高める3要素は、トレーニングで伸びてくる「タイミング」が異なります。筋トレを始めて最初の数週間は、筋肉のサイズはまだほとんど変わっていないのに、扱える重量が伸びていくことがよくあります。これは、運動単位の動員や発火頻度といった「神経系」の要素が先に適応し、もともと眠っていた筋力を引き出せるようになるためです。その後、トレーニングを継続していくと、徐々に筋肉のサイズ(横断面積)が増えてきて、さらに筋出力が高まっていきます。

つまり、初心者がぐんぐん力が伸びる時期は主に神経系の適応によるもので、その先でさらに力を伸ばすには筋肥大が必要になる、というわけです。だからこそ、運動単位を多く動員し発火頻度を高めるような「高強度のトレーニング」と、筋肉そのものを大きくする「筋肥大のトレーニング」の両方が、筋出力アップには欠かせないのです。

筋出力についてのまとめ

筋出力とは筋肉が発揮する力(張力)のことで、①運動単位の動員、②神経の発火頻度、③筋肉のサイズ(横断面積)という3つの要素で決まります。前者2つは神経系、最後は筋肉そのものの要因です。筋トレ初期はまず神経系が適応して力が伸び、継続すると筋肥大によってさらに筋出力が高まります。これらを伸ばすには、大脳を興奮させる高強度のトレーニングが効果的です。

参考文献・出典

・厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/

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