ナロー・ベンチプレス(narrow bench press)
ナロー・ベンチプレスとは主に大胸筋(だいきょうきん)、小胸筋(しょうきょうきん)、三角筋(さんかくきん)、上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)、烏口腕筋(うこうわんきん)を鍛える筋トレ種目です。
ナロー・ベンチプレスは「上腕三頭筋版のベンチプレス」と呼ばれる、通常のベンチプレスより狭いグリップ幅で行う多関節(コンパウンド)種目です。
グリップ幅を狭めることで上腕三頭筋に対して強い刺激を与えられ、二の腕の太さ・力強さを作る重要種目として位置づけられています。
このページではナロー・ベンチプレスの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、目的別(筋力アップ・筋肥大・ダイエット)に応じた重量、回数、セット、通常ベンチプレスとの使い分けまで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・ナロー・ベンチプレスで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・呼吸法と目的別の重量・回数
・グリップ幅と上腕三頭筋への効果
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
上腕三頭筋+大胸筋内側+三角筋前部を同時刺激
ナロー・ベンチプレスの特徴:
① 主働筋:上腕三頭筋
・長頭+外側頭+内側頭の3部位
・肘関節伸展の主役
・「二の腕」の太さを作る
② 主働筋:大胸筋内側
・狭いグリップで内側に刺激
・「胸の谷間」を作る
③ 協働筋:三角筋前部
・押し動作を補助
④ 協働筋:小胸筋・烏口腕筋
・動作の安定
「上腕三頭筋」の解剖:
上腕三頭筋の3部位:
① 長頭
・後面内側
・「二の腕の厚み」
・2関節筋
② 外側頭
・後面外側
・「二の腕の横ライン」
③ 内側頭
・長頭・外側頭の深層
・「二の腕の安定」
④ 上腕の体積
・「上腕の3分の2」を占める
・太い腕には必須
「多関節運動(コンパウンド)」:
ナロー・ベンチプレスの特徴:
① 肩関節+肘関節を同時に動かす
・多関節運動
② 高重量を扱える
・単関節運動より重い
・「パワー強化」
③ 複数筋を同時刺激
・上腕三頭筋+大胸筋+三角筋
・効率的
「上腕三頭筋版のベンチプレス」:
なぜそう呼ばれるか:
① 通常のベンチプレス
・大胸筋メイン
・広いグリップ
② ナロー・ベンチプレス(本記事)
・上腕三頭筋メイン
・狭いグリップ
③ 同じ動作・違う筋への刺激
・グリップ幅を変えるだけ
・シンプル&効果的
関節の動き

肩関節においては水平内転、肘関節においては伸展動作、肩甲帯においては外転動作が行われます。
運動の方法


- バーベルの真下に目線がくるようにベンチ台の上で仰向けに寝ます。(写真1)
- バーベルの握り幅は握りこぶし1個半程度にし、初心者の方は親指をしっかりバーに巻きつけます。
- 頭部、肩部、臀部はベンチ台に固定し、しっかり足裏を床に固定します。このとき手のひら一枚分の隙間ができるように腰をやや反らせた状態を保ちます。
- ラックからバーベルをはずし、胸を張り、肩甲骨を寄せながらバーベルを胸の乳頭かやや下に下ろします。(写真2)
- 胸を張り、肩甲骨を寄せたままバーベルを開始姿勢まで押し上げます。
- 以後、運動動作を必要回数繰り返します。
「握りこぶし1個半」がポイント
ナロー・ベンチプレスのグリップ幅:
① 握りこぶし1個半程度
・標準的な狭さ
・上腕三頭筋への刺激最大
② 狭すぎ(握りこぶし1個未満)
・手首への負担大
・バランスが崩れる
・怪我のリスク
③ 広すぎ(肩幅以上)
・通常のベンチプレスに近づく
・上腕三頭筋への刺激低下
④ 結果
・「握りこぶし1個半」が黄金比
「サムアラウンドグリップ」推奨:
握り方の注意:
① 初心者
・サムアラウンド(親指で巻く)
・安全性最優先
② 中・上級者
・サムレスグリップも可(後述)
③ 重要
・バーベルが落下しないように
・サポーター使用も検討
「ブリッジ姿勢」:
通常のベンチプレスと同じ:
① 5点接地
・頭部・肩部・臀部=ベンチ
・足裏=床
② 腰の隙間
・手のひら1枚分
・適度なブリッジ
③ 効果
・胸を張る
・肩甲骨を寄せる
・安定性UP
呼吸方法
- 重量が軽いときには呼吸は胸の動きに合わせて行います。すなわち胸が開くときに息を吸い、胸が閉じるときに息を吐きます。
- 高重量を用いる場合は、開始姿勢で息を吸い、息を止めながらバーベルを下ろし、ステッキングポイントを越えたら(挙上動作中)息を吐き出します。
ONE-POINT
- ナロー・ベンチプレスは普通のベンチプレスに比べ、上腕三頭筋に対して強い刺激を与える種目です。
肘を狭めた状態を意識することで上腕三頭筋の長頭に効果をもたらし、開き気味に行うとで外側頭に刺激を与えることができます。 - ナロー・ベンチプレスを行うときは極力『サムレスグリップ』でバーベルを握るようにしてください。バーベルを下ろしたときに手関節を痛める恐れがあるからです。
- この種目は肘の傷害をもっとも起こしにくい種目の一つといわれています。しかし、それでも痛むようであれば別の種目を採用する必要があります。
「肘の角度」で刺激部位が変わる
上腕三頭筋3部位への使い分け:
① 肘を狭める(体側に近づける)
・上腕三頭筋長頭に刺激
・「二の腕の厚み」
② 肘を開く(体側から離す)
・上腕三頭筋外側頭に刺激
・「二の腕の横ライン」
③ 中間
・3部位に均等に刺激
④ 目的に応じて使い分け
・長頭重視=肘を狭める
・外側頭重視=肘を開く
「サムレスグリップ」の理由:
ナロー・ベンチプレス特有の注意:
① サムレスグリップとは
・親指をバーに巻かない
・「サルグリップ」とも呼ばれる
② ナロー版での推奨理由
・手関節の角度が自然
・「手首を痛めない」
・狭いグリップ特有
③ 注意
・バーベル落下リスク大
・初心者は避ける
・「サポーター」必須
④ 推奨
・初心者=サムアラウンド
・上級者=サムレス(自己責任で)
「肘の怪我が少ない種目」:
肘関節障害との関係:
① 肘を体側に近づける
・「テニス肘」等を起こしにくい
・関節への負担小
② それでも痛む場合
・無理しない
・別種目に切り替え
・整形外科医に相談
反復回数とセット数
目的別に応じた反復回数とセット数をご紹介します。
- 筋力アップ=運動動作が6〜8回で限界を迎えるような高負荷
- 筋肥大=運動動作が10〜12回で限界を迎えるような中負荷
- ダイエット=運動動作が15回以上反復可能な低負荷
※初心者の方は正確なフォームで10〜15回程度反復できる重量で行います。
※セット数は3〜4セットくらいで行います。
「ベンチプレスより軽め」:
ナロー・ベンチプレスの重量設定:
① 通常のベンチプレスの70〜80%
・狭いグリップで安定性低下
・上腕三頭筋メインのため
② 一般的な目安(バーベル合計)
・初心者=20〜40kg
・中級者=40〜70kg
・上級者=70〜100kg以上
③ フォーム優先
・重量より正確性
・「効かせる」意識
ナロー・ベンチプレスと通常ベンチプレスの使い分け
両種目の特性を整理:
「通常のベンチプレス」:
① 利点
・大胸筋メイン
・高重量を扱える
・「胸トレの王道」
② 欠点
・上腕三頭筋への刺激がやや低い
「ナロー・ベンチプレス(本記事)」:
① 利点
・上腕三頭筋メイン
・大胸筋内側も刺激
・「胸の谷間」を作る
② 欠点
・通常のベンチプレスより軽め
・手首への負担
「推奨される組み合わせ」:
胸+三頭筋デーのメニュー:
① ベンチプレス(大胸筋・高重量)
② インクライン・ベンチプレス(大胸筋上部)
③ ダンベルフライ(大胸筋のストレッチ)
④ ナロー・ベンチプレス(本記事)(上腕三頭筋+大胸筋内側)
⑤ トライセプスエクステンション(上腕三頭筋・アイソレーション)
「上腕三頭筋」の重要性:
なぜ三頭筋が重要か:
① 上腕の体積
・上腕の3分の2を占める
・太い腕には必須
② 「二の腕」の見た目
・力こぶ+二の腕
・立体的な腕
③ 押す動作の主役
・ベンチプレス・ショルダープレス
・パワー強化
「上腕三頭筋種目」の使い分け:
完璧な三頭筋作り:
① ナロー・ベンチプレス(本記事)
・多関節・高重量
・3部位に刺激
② トライセプスエクステンション
・単関節・長頭強調
・「二の腕の厚み」
③ ダンベルキックバック
・単関節・収縮感
・「ピーク収縮」
④ ディップス
・多関節・自重
・3部位+大胸筋下部
「現代人の腕問題」:
なぜ二の腕トレが重要か:
① 「ふりそで」コンプレックス
・たるんだ二の腕
・女性に多い悩み
② 上腕三頭筋の弱化
・運動不足
・加齢
③ 解決法
・上腕三頭筋強化
・本種目+他の三頭筋種目
④ ボディメイク
・引き締まった二の腕
・立体的
関連する効果:
① 上腕三頭筋3部位の発達
・「二の腕の太さ」UP
・長頭+外側頭+内側頭
② 大胸筋内側の発達
・「胸の谷間」UP
③ 三角筋前部の補助強化
④ パワーUP
・押し動作の強化
⑤ ボディメイク
・立体的な腕
関連する障害の予防+注意:
① 手首痛
・サポーター使用
・サムアラウンド推奨
② 肘関節障害
・適切な肘の角度
・痛みがあれば中止
③ 肩関節障害
・適切なフォーム
・軽重量から
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【ベンチプレス・インクライン・ベンチプレス・ダンベルプレス・ダンベルフライ・トライセプスエクステンション・ダンベルキックバック・フレンチプレス・スカルクラッシャー】
■ マシントレーニング■
【ケーブルプッシュダウン・トライセプスマシン】
■ 自重トレーニング■
【ディップス・ダイヤモンドプッシュアップ・ナロープッシュアップ】
まとめ
ナロー・ベンチプレスについて解説してきた内容を整理します。
・上腕三頭筋+大胸筋(特に内側)+三角筋前部+小胸筋+烏口腕筋を鍛える
・「上腕三頭筋版のベンチプレス」
・「多関節運動(コンパウンド)」
・仰向けでベンチ台
・握り幅は握りこぶし1個半(最重要)
・初心者はサムアラウンドグリップ
・頭・肩・臀部+足裏の5点接地
・腰に手のひら1枚分の隙間(ブリッジ)
・胸を張り、肩甲骨を寄せる
・バーベルを乳頭やや下に下ろす
・肘を狭める=長頭/開く=外側頭
・軽重量=胸の動きに合わせて呼吸
・高重量=バルサルバ法
・目的別:筋力6〜8回/筋肥大10〜12回/ダイエット15回以上
・初心者は10〜15回×3〜4セット
・通常のベンチプレスの70〜80%の重量
・サムレスは上級者のみ(手首を守る)
・痛みがあれば中止
ナロー・ベンチプレスは上腕三頭筋の集中強化+大胸筋内側の発達+「二の腕の太さ」作り+「胸の谷間」作り+押し動作のパワーUPに直結する重要種目です。通常のベンチプレス(大胸筋)+ナロー・ベンチプレス(上腕三頭筋)の組み合わせで、胸と腕を多角的に発達させることができます。握り幅は握りこぶし1個半+肘の角度を調整+ブリッジ姿勢+正確なフォームでナロー・ベンチプレスの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本パワーリフティング協会https://www.jpa-powerlifting.or.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「肘関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/





