ベントオーバーローイング(bent over rowing)
ベントオーバーローイングとは主に広背筋(こうはいきん)、大円筋(だいえんきん)、僧帽筋(そうぼうきん)中部、菱形筋(りょうけいきん)群、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)を鍛える筋トレ種目です。
ベントオーバーローイングは「背中の厚みを作る代表種目」と呼ばれる、背中のトレーニングに欠かせない種目です。ラットプルダウンは筋トレを行うことで背中の広がりが期待できるのに対して、ベントオーバーローイングでは背中の厚みを期待することができます。
このページではベントオーバーローイングの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、目的別(筋力アップ・筋肥大・ダイエット)に応じた重量、回数、セット、バリエーションまで包括的にご紹介します。
この記事で分かること:
・ベントオーバーローイングで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・呼吸法と目的別の重量・回数
・ラットプルダウンとの違い
・関連トレーニング種目
強化される筋肉
背中の主要筋を総動員
ベントオーバーローイングは背中のほぼ全筋を鍛える種目:
① 主働筋:広背筋
・背中最大の筋
・「逆三角形」のシルエットの主役
・引く動作の中心
② 協働筋:大円筋
・広背筋の小さな相棒
・引く動作を補助
③ 協働筋:僧帽筋中部
・肩甲骨内転
・「胸を張る筋」
・姿勢改善
④ 協働筋:菱形筋
・肩甲骨内転+下方回旋
・巻き肩予防
⑤ 協働筋:三角筋後部
・肩関節水平外転
・「肩の後ろ」
⑥ 協働筋:上腕二頭筋
・肘関節屈曲
・引く動作の補助
「背中の多関節運動」:
ベントオーバーローイングは多関節運動:
① 肩関節水平外転=三角筋後部
② 肩甲骨内転=僧帽筋中部・菱形筋
③ 肘関節屈曲=上腕二頭筋
④ 肩関節伸展=広背筋・大円筋
これら4つの関節動作を同時に行うため、効率的に背中全体を鍛えられます。
「現代人の背中」問題:
現代人の背中は機能低下+姿勢不良:
① 長時間座位
・背中を使わない
・「丸まった姿勢」
② 巻き肩・猫背
・僧帽筋中部・下部+菱形筋の弱化
・大胸筋・小胸筋の短縮
③ 解決法
・ベントオーバーローイングで背中を強化
・姿勢改善
関節の動き

肩関節においては水平外転、肘関節においては屈曲、肩甲帯においては内転が行われます。
運動方法


- 足幅は肩幅よりやや広目にし、両膝は軽く曲げておきます。(ハムストリングスへの負担度を軽くするためです)
このとき上半身が45〜60度くらいの角度になるように前傾姿勢(ニーベントスタイル)をとります。 - バーベルの握り幅は肩幅より1.5倍程度広めにし、親指をしっかりバーに巻きつけます。(サムアラウンドグリップ)
- 肩甲骨を内側に引き寄せるようにし、両肘を後方に引きながらバーベルを十分にへそあたりにまで引き寄せます。
引き上げる際はバーベルのシャフト部分が大腿部前面を擦りながら引くように行います。 - 胸を張り、肩甲骨を寄せたままバーベルをゆっくり開始姿勢まで戻します。
「ニーベントスタイル」が最重要
ベントオーバーローイングの基本姿勢:
① ニーベントスタイルとは
・膝を軽く曲げる
・お尻を後方に突き出す
・上半身45〜60度前傾
・腰を反らない+丸めない
② 重要性
・腰部への負担軽減
・背中の安定
・正確なフォーム
③ 失敗例
・膝を伸ばす=ハムストリングス過緊張+腰痛
・背中を丸める=椎間板への負担
・過剰な前傾=バランス崩壊
呼吸方法
- 重量が比較的軽いときは胸の動きに合わせて呼吸を行います。
すなわち胸が開くときに息を吸い、胸が閉じるときに息を吐き出します。 - 中〜高重量を用いる場合は、開始姿勢で大きく息を吸いこみ、そのまま息をとめながら(胸の膨らみを保ちながら)グリップをへそあたりに引きつけます。
その後、息を吐きながら開始位置までグリップを戻します。
ポイントと注意点※順不同
- グリップの握り方は親指をしっかり巻きつけて行う『サムアラウンドグリップ』を用いるようにします。
- フィニッシュの姿勢では肘の高さはなるべく背中よりも高くなるようにし、肩甲骨と肩甲骨がしっかりと真ん中で合わせるように行います。
- 腰痛予防のためにもベントオーバーローイングはお尻を突き出した前傾姿勢(ニーベントスタイル)で行うようにします。
- この姿勢を保つためにも目線を少しあげておきます。
目線を上げることで自然に姿勢が保持でき、腰へのストレスを軽減することができます。
「肘を背中より高く」の意味
フィニッシュ姿勢の重要なポイント:
① 肘の高さ
・背中より高く引き上げる
・肩甲骨の最大内転
・僧帽筋中部+菱形筋の最大活動
② 「中途半端な高さ」の問題
・背中への刺激不足
・上腕二頭筋ばかりに効く
・「効かない種目」に
③ 「肩甲骨を真ん中で合わせる」
・意識的に寄せる
・「胸を張る」
・マインドマッスルコネクション
バリエーション
このエクササイズはダンベルやチューブを用いて行うこともできます。
① ダンベル版
・バーベルに比べて可動域が広くなります
・運動動作に回旋動作を加えることができます
・左右別々に強化
② チューブ版
・ゴムの特性上、終動動作に近づくにつれて負荷がだんだん強くなります
・自宅で手軽に
・関節への負担軽減
③ ワンハンドダンベルローイング
・片手ずつ
・片膝+片手をベンチに
・背中の左右バランス改善
④ Tバーローイング
・Tバー使用
・背中中央に効く
・上級者向け
反復回数とセット数
目的別に応じた反復回数とセット数をご紹介します。
- 筋力アップ
筋トレの目的が筋力アップなら運動動作が6〜8回で限界を迎えるような高負荷でトレーニングを行う必要があります。 - 筋肥大
筋トレの目的が筋肥大なら運動動作が12〜15回で限界を迎えるような中負荷でトレーニングを行う必要があります。 - ダイエット
筋トレの目的がダイエットなら運動動作が20回以上反復可能な低負荷でトレーニングを行う必要があります。
※初心者の方は正確なフォームで10回〜15回程度反復できる重量で行います。
※セット数は3〜4セットくらいで行います。
ベントオーバーローイングと「背中の厚み」|現代人の姿勢改善
ベントオーバーローイングは姿勢改善にも直結:
「ラットプルダウン vs ベントオーバーローイング」:
両種目の特性を整理:
① ラットプルダウン
・背中の「広がり」を作る
・広背筋上部
・「逆三角形」のシルエット
② ベントオーバーローイング(本記事)
・背中の「厚み」を作る
・広背筋中下部+僧帽筋中部+菱形筋
・「分厚い背中」
③ 推奨される組み合わせ
・両方を取り入れる
・「広がり+厚み」を同時に
・完璧な背中を作る
「逆三角形のシルエット」:
理想的な背中の形:
① 上が広く下が狭い
・男性的な印象
・スポーティな外観
② 必要な発達部位
・広背筋全体
・僧帽筋中部・下部
・菱形筋
・三角筋全体
③ 必要なトレーニング
・ラットプルダウン(広がり)
・ベントオーバーローイング(厚み)
・デッドリフト(全身)
「姿勢改善」効果:
ベントオーバーローイングは「猫背・巻き肩」の改善に直結:
① 強化される筋
・僧帽筋中部・下部
・菱形筋
・三角筋後部
② これらは「巻き肩・猫背」で弱化する筋
・強化すれば姿勢改善
③ 結果
・胸が張れる
・背中がまっすぐ
・「自信のある印象」
「上位交差症候群」の改善:
巻き肩・猫背の典型パターン:
① 弱化筋(背中側)
・僧帽筋中部・下部
・菱形筋
・深層頚屈筋
② ベントオーバーローイング
・弱化筋を強化
・「上位交差症候群」を改善
関連する効果:
① 姿勢改善
・猫背・巻き肩解消
② 肩こり予防
・背中強化
・正しい姿勢
③ 腰痛予防
・体幹強化
・背筋強化
④ デッドリフトのパワーUP
・背中強化
・BIG3の相乗効果
⑤ ベンチプレスのパワーUP
・肩甲骨の安定
・背中で支える
「現代人の背中問題」:
現代生活での課題:
① 「使われない背中」
・長時間座位
・運動不足
・筋萎縮
② 解決法
・ベントオーバーローイング
・週1〜2回の背中の日
・姿勢改善
YOU TUBE
関連種目
■ フリーウエイト・トレーニング■
【ラットプルダウン・ワンハンド・ダンベルローイング・ローイング・ダンベル・プルオーバー】
■ マシン・トレーニング■
【ロウプーリー・プルオーバー・ウィズ・マシン】
■ 自重トレーニング■
【チンニング】
■ ボールエクササイズ■
【プルオーバー・ウィズ・ソフトギム】
まとめ
ベントオーバーローイングについて解説してきた内容を整理します。
・広背筋+大円筋+僧帽筋+菱形筋+三角筋後部+上腕二頭筋を鍛える
・「背中の厚みを作る代表種目」
・多関節運動
・ニーベントスタイル(足幅広め+膝軽く曲げる+上半身45〜60度前傾)
・サムアラウンドグリップ
・グリップ幅は肩幅の1.5倍
・バーベルをへそあたりに引く
・肘は背中より高く引き上げる
・肩甲骨を真ん中で合わせる
・大腿部前面を擦りながら引く
・目線を少し上に
・軽重量=胸の動きに合わせて呼吸
・中〜高重量=バルサルバ法
・目的別:筋力6〜8回/筋肥大12〜15回/ダイエット20回以上
・初心者は10〜15回×3〜4セット
・バリエーション:ダンベル・チューブ・Tバー
ベントオーバーローイングは背中の厚み+姿勢改善+肩こり予防+上位交差症候群の改善に直結する重要種目です。ラットプルダウン(広がり)+ベントオーバーローイング(厚み)で「完璧な背中」を作りましょう。正しいニーベントスタイル+肩甲骨の最大内転+肘を背中より高くでベントオーバーローイングの効果を最大化しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/
・日本パワーリフティング協会https://www.jpa-powerlifting.or.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害」http://www.rinspo.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患・腰痛」https://www.joa.or.jp/





