エンプティカンエクササイズの正しいフォーム|棘上筋を強化するローテーターカフ筋トレを徹底解説

エンプティカンエクササイズ(emptican exercise)

エンプティカンエクササイズとは主に棘上筋(きょくじょうきん)、三角筋(さんかくきん)を鍛える筋トレ種目です。

エンプティカンエクササイズはローテーターカフを構成する筋肉のひとつ、棘上筋を強化するエクササイズです。
缶の中身を捨てるような動作を行うことからその呼び名がつけられました。

エンプティカンエクササイズは「肩関節障害予防の代表種目」と呼ばれる、肩関節の安定性を高めたり、怪我の予防、改善などに効果があります。

このページではエンプティカンエクササイズの正しいフォーム、動作のポイントや注意点、呼吸法などを初心者の方でも理解しやすいように画像、動画つきで解説します。また、回数、セット、ローテーターカフ強化の重要性まで包括的にご紹介します。

この記事で分かること:

・エンプティカンエクササイズで鍛えられる筋肉
・正しいフォームと動作のポイント
・低負荷高回数の重量・回数
・肩関節障害予防の効果
・関連トレーニング種目

強化される筋肉

muscle6

棘上筋、三角筋

棘上筋=ローテーターカフの中心

エンプティカンエクササイズの特徴:

① 主働筋:棘上筋
・ローテーターカフ4筋の1つ
・外転初動(0〜30度)の主役
・肩関節の動的安定

② 協働筋:三角筋中部
・外転30〜180度で主役交代
・本種目では補助

「ローテーターカフ4筋」:

肩関節の動的安定を司る筋群:

① 棘上筋(本記事の主役)
・外転初動
・上方の安定

② 棘下筋
・外旋
・後方の安定

③ 小円筋
・外旋
・後方の安定

④ 肩甲下筋
・内旋
・前方の安定

これら4筋の「動的安定」が肩関節を守ります。

「棘上筋」の特殊性:

ローテーターカフの中で最も重要:

① 解剖学的位置
・肩峰の下を通る
・狭いスペース
・「インピンジメント」のリスク

② 機能
・外転初動=0〜30度
・三角筋中部の起動を補助

③ 損傷しやすい
・腱板損傷で最多
・40代以降に多発

④ 機能低下の影響
・インピンジメント症候群
・四十肩・五十肩
・腱板断裂

「エンプティカンエクササイズ」の名前の由来:

ユニークな名称の理由:

① エンプティカン(Empty Can)
・「空っぽの缶」
・缶の中身を捨てる動作

② サムダウン姿勢
・親指を下向き
・「中身を捨てる」
・独特な姿勢

③ なぜこの姿勢か
・棘上筋を最大活動させる
・三角筋中部の関与を最小化

関節の動き

kata2

肩関節においては外転が行われます。

運動方法

エンプティカンエクササイズ (写真1)ファーストポジション

エンプティカンエクササイズ (写真2)セカンドポジション

  1. ゴムチューブを柱などに結び付け、ゴムチューブの端を握ります。
  2. 足幅は肩幅程度に広げ、膝はわずかに曲げます。
    このとき、もう片方の手の指先で運動実施側の肩先を触れます。(写真1)
  3. 親指を下(サムダウン)に向けたまま肩関節を外転(30〜45度くらいまで)させます。このとき真横に持ち上げるのではなく少し前方(20〜30度)に屈曲させます。
  4. ゴムチューブの抵抗に逆らいながらゆっくりと元の位置に戻します。(写真2)

「サムダウン+肩甲面」が最重要

エンプティカンエクササイズの2つの特徴:

① サムダウン(親指下向き)
・肩関節の内旋
・棘上筋を選択的に活動
・三角筋中部の関与を最小化

② 肩甲面(やや前方)外転
・真横ではなく前方20〜30度
・肩関節の自然な動き
・インピンジメントを防ぐ

③ この2要素の組み合わせ
・棘上筋を最大活動
・肩関節を守る

「肩甲面(Scapular Plane)」とは:

スポーツ医学用語:

① 肩甲骨の位置
・体幹に対して30度前方
・「肩甲面」と呼ばれる

② 肩関節の自然な動き
・真横ではなく
・やや前方に外転
・関節包への負担最小

③ 重要性
・インピンジメント予防
・肩関節障害予防

「外転30〜45度まで」の意味:

可動域の制限:

① 棘上筋の活動範囲
・外転0〜30度=棘上筋メイン
・30〜180度=三角筋中部メイン

② 30〜45度まで
・棘上筋を選択的に
・三角筋中部の関与を最小

③ 高く上げない
・サイドレイズではない
・「棘上筋専用」のエクササイズ

ポイントと注意点※順不同

  • セカンドポジションでは肩がすくみあがらないように気をつけて行います。
  • 棘上筋を的確に鍛えるためには運動動作中、肩甲骨をあまり挙上させないように意識します。

「肩をすくめない」が最重要

エンプティカンエクササイズの最大の注意点:

① 肩がすくむと
・僧帽筋上部が活動
・棘上筋への刺激不足
・「効かない」感覚

② 肩甲骨の挙上を防ぐ
・肩を下げる意識
・「肩を遠ざける」感覚

③ もう片方の手で肩先を触れる理由
・肩がすくむのを感知
・適切なフォームを確認

「棘上筋専用」のエクササイズ:

サイドレイズとの違い:

① サイドレイズ
・三角筋中部がメイン
・肩の高さまで上げる
・サムアップorニュートラル

② エンプティカンエクササイズ(本記事)
・棘上筋がメイン
・30〜45度まで
・サムダウン
・低負荷

③ 目的の違い
・サイドレイズ=肩幅作り(外観)
・エンプティカン=肩関節安定(機能)

注意事項:

肩関節障害の方へ:

① 痛みがある場合は中止
・炎症期には禁忌
・整形外科医に相談

② リハビリの定番
・術後リハビリ
・四十肩・五十肩の改善期

③ 予防目的なら
・軽負荷で
・長期的に継続

反復回数とセット数

このエクササイズは基本的に高負荷を用いません。
低負荷(20回以上反復可能な低負荷)で高回数行いましょう。

※セット数は3〜4セットくらいで行います。

「低負荷高回数」が原則:

エンプティカンエクササイズの重量設定:

① ローテーターカフは小さな筋
・高負荷は禁物
・「軽くて効く」

② 推奨負荷
・軽量チューブ
・1kg未満のダンベルでも可
・「最後の2〜3回がきつい」程度

③ 「20回以上」の意味
・筋持久力を養う
・動的安定能力UP

④ 怪我予防
・高負荷は腱板損傷のリスク
・軽負荷でじっくり

エンプティカンエクササイズと肩関節障害予防

エンプティカンエクササイズの特別な効果:

「肩関節障害の現状」:

日本の肩関節障害事情:

① 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
・40〜60代の3〜5割が経験
・1〜2年続くことも

② 腱板損傷
・50代以上で多発
・棘上筋断裂が最多

③ インピンジメント症候群
・挙上時の痛み
・水泳・テニス選手に多発

④ ロコモティブシンドローム
・上肢機能低下
・QOL低下

「ローテーターカフ強化」の重要性:

肩関節障害予防の中心:

① 動的安定
・大きな筋(三角筋・大胸筋)がパワー
・ローテーターカフが安定

② 「綱引きバランス」
・4方向から関節包を引く
・関節の中心を保つ

③ 機能不全の問題
・肩関節の不安定
・怪我のリスク大
・慢性的な痛み

④ エンプティカンエクササイズの効果
・棘上筋強化=上方の安定
・「肩関節障害予防」

「現代人の肩問題」:

現代生活での課題:

① 「巻き肩・猫背」
・肩関節の機能不全
・インピンジメントのリスク

② 長時間座位
・肩関節の硬化
・ローテーターカフの弱化

③ デスクワーカー
・肩こり・首こり
・肩関節障害のリスク

④ 解決法
・エンプティカンエクササイズ
・ローテーターカフ強化
・姿勢改善

「スポーツ選手への重要性」:

特に重要なスポーツ:

① 投球系(野球・ハンドボール)
・投球障害肩
・ローテーターカフ損傷

② ラケット系(テニス・バドミントン)
・サーブ・スマッシュ
・反復ストレス

③ 水泳
・スイマーズショルダー
・4種目すべてで肩使用

④ ウェイトトレーニング
・ベンチプレス・ショルダープレス
・肩関節の安定必須

「ローテーターカフ4筋」エクササイズ:

完全なローテーターカフ強化メニュー:

① 棘上筋
・エンプティカンエクササイズ(本記事)
・外転30〜45度

② 棘下筋・小円筋
・エクスターナルローテーション
・外旋動作

③ 肩甲下筋
・インターナルローテーション
・内旋動作

これら4方向の強化で「肩関節の動的安定」が完成。

「リハビリの定番」:

医療現場での評価:

① 整形外科リハビリ
・術後リハビリ
・腱板損傷後

② リハビリの段階
・炎症期=禁忌
・回復期=低負荷から
・機能回復期=高回数

③ 整形外科医・理学療法士
・推奨する種目
・「肩のリハビリの定番」

関連する効果:

① ローテーターカフ強化
・肩関節安定UP

② 肩関節障害予防
・四十肩・五十肩予防
・腱板損傷予防

③ ベンチプレス・ショルダープレスの安全性UP
・肩関節の動的安定
・怪我予防

④ スポーツパフォーマンスUP
・投球障害肩予防
・動的安定能力

⑤ 姿勢改善
・肩関節の機能改善

関連する障害の予防:

① インピンジメント症候群
・棘上筋強化
・肩峰下の動き改善

② 腱板損傷
・棘上筋強化
・動的安定UP

③ 四十肩・五十肩
・予防+改善
・機能回復

④ 投球障害肩
・スポーツ選手必須

⑤ スイマーズショルダー
・水泳選手必須

YOU TUBE

エンプティカンエクササイズ

関連種目

■ フリーウエイト・トレーニング■

【バックプレス・シーテッド・ダンベルプレス・アーノルドプレス・フロントレイズ・ベントオーバーフロントレイズ・サイドレイズ・リアレイズ・クロスボディ・デルトレイズ・アップライトローイング・ショルダーシュラッグ・ベントオーバーショルダーシュラッグ・インターナルローテーション・エクスターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・プローン・エクスターナルローテーション・プローン・オーバーヘッドエクスターナルローテーション・ショルダーサークル・リバース・サイドレイズ】

■ ボールエクササイズ■

【ローテーターカフ・アクティブエクササイズ】

■ チューブエクササイズ■

【スタンディングチューブリアレイズ・スタンディングチューブ・インターナルローテーション・スタンディングチューブ・エクスターナルローテーション・ホリゾンタルアーム・エクスターナルローテーション】

■ ギムニクエクササイズ■

【ローテーターカフ・アクティブエクササイズ】

まとめ

エンプティカンエクササイズについて解説してきた内容を整理します。

・棘上筋+三角筋を鍛える
・「肩関節障害予防の代表種目」
・棘上筋=ローテーターカフ4筋の1つ
・「缶の中身を捨てる動作」=名前の由来
・ゴムチューブを柱に結ぶ
・足幅は肩幅+膝わずかに曲げる
・もう片方の手で肩先を触れる
・サムダウン(親指下向き)
・外転30〜45度まで
・真横ではなく前方20〜30度(肩甲面)
・肩をすくめない(最重要)
・肩甲骨を挙上させない
・低負荷(20回以上反復可能)+高回数
・3〜4セット
・痛みがある場合は中止
・ローテーターカフ4筋すべて強化が理想

エンプティカンエクササイズは棘上筋強化+ローテーターカフ安定+肩関節障害予防+四十肩・五十肩予防+投球障害肩予防+スポーツパフォーマンス向上に直結する重要種目です。大きな筋(三角筋・大胸筋)のパワー強化とローテーターカフの動的安定強化、両方が必要です。サムダウン+肩甲面外転+低負荷高回数+肩をすくめないでエンプティカンエクササイズの効果を最大化しましょう。

参考文献・出典

・厚生労働省 e-ヘルスネット「運動・トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

・日本ストレングス&コンディショニング協会(JATI)https://www.jati.jp/

・日本臨床スポーツ医学会「スポーツ障害・肩関節障害」http://www.rinspo.jp/

・日本整形外科学会「肩関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/

・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/

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